『国際インテリジェンス最新事情』

国内外でのインテリジェンスに関する最新情報、分析をお届けします。 スパイ、謀略、国際政治、ビジネス情報戦、情報史、など盛り沢山の内容となっております。

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February 2008

●陸軍中野学校のインテリジェンス能力

●陸軍中野学校のインテリジェンス能力


世界には優秀な情報機関が多くある。
かつて、日本にもレベルの高い情報マンを育てた学校があった。
ご存じの方も多いと思うが、今一度、「陸軍中野学校」について復習したいと思う。



20世紀初頭、スパイ教育は英国が400年の歴史を持ち、それが陰での支えとなって大英帝国を築いて

きた。
それに追いつかなければ、日本は相手の情報を取れなくなる。
そう考えた陸軍が創設したのが、陸軍中野学校であった。
1938年、最初「後方勤務員養成所」という名で設立した。



以下が勉強と訓練の内容である。

午前の授業:諜報・防諜・謀略・宣伝。
午後の授業:各国の政治・経済・思想・宗教。

その他、一般教養、秘密通信、写真術、変装術、解錠術などの実技。

武道は空手・剣道・柔道・忍術その他の格闘技。
語学はソ連班(ロシア語・ドイツ語)、中国班(中国語・マレー語・タイ語)、南方班(スペイン語・英

語・フランス語)という形で分かれて学んだ。


それらの授業は真剣そのもので、最大限の集中力が要求された。
ノートを取ることを許されず、先生の話すことを一言一句、自分の脳裏へ焼き付けなければならなかった


そして、2つ以上の職業のプロになることを要求された。
寝る間を惜しんで、膨大な知識を取得し、強靱な精神力をもって世界を相手に活躍したのだ。

卒業後の仕事は、諜報ばかりではない。
現地での教育も重要な任務だった。
現地の若手政治家や経済人を教育していくのである。
インドネシアのスハルト大統領など、将来の大統領や首相クラスの人間を教えていた。


※コメント
彼らの猛勉強に比べたら、現代の我々はもっと努力できると思う。
不可能なんてない、そう思わせてくれる先輩方々である。





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人脈ネットワークが、価値ある情報を共有する


●人脈ネットワークの情報価値

中田安彦氏の『世界を動かす人脈』(講談社現代新書)が面白い。

『世界を動かす人脈』要旨


・世界を動かす人は世界のキーパーソンと豊富な人脈を誇り、電話1本で他のキーパーソンと連絡ができる。

・「クラブ」「同窓会」「取締役ネットワーク」「国際諮問委員会」のような人脈ネットワークが、それに所属しているものとしていないものの「情報格差」を生み出している。
この種のネットワークで共有される情報こそ、本当の「インテリジェンス」(価値ある情報)と呼ばれるものである。

・ネットワークで最も重要なのは、「ハブ」(中核)になる人物である。
キーマンと繋がっていることが、ネットワーキングでは非常に重要になる。

・欧州はロシアの天然ガスに依存しているため、ロシアは欧州の命運を握っている。
しかし、ロシアも欧州のエネルギー開発技術を必要としている。

・ロシア産のチタニウムが、エアバスやボーイングの機体を製造するのに不可欠である。
そのため、ロシアは資源大国であることで欧米の軍需・航空産業の死命を握っている。

・『エコノミスト』が世界中の経営陣に愛読されているのは、この雑誌にロスチャイルドの資本と、その情報ネットワークが反映されているからだ。

※コメント
お金持ちのグループに入ると、自然と影響を受けて、良い情報が入り金持ちになっていく。
このようなことをかつて聞いたことがある。
一人の知識は少ないが、何人か集まれば、研ぎ澄まされた情報にある。
これは、ビジネス情報でも、政治情報でも同じことが言える。



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生の情報、イキのいい情報は、現場にあり


目次
●商社のローテク情報収集術
●トム・ピーターズの現場主義
●長谷川慶太郎流・スクープを取るコツ


イキのいい情報とはどこにあるのだろうか。
もちろん本、新聞、雑誌、インターネットの公開情報を読み込むことは重要である。
その上で鮮度の高い情報は、現場にゴロゴロ落ちている。



●商社のローテク情報収集術

商社にいたときにそれを実感した。
私は、自動車関連メーカーと大規模な産業機械を取引していた。
そのようなものを取引するためには、客先の工場に何度も足を運び、現場の人の話を聞かないと情報は入らない。
そうすると、工場の設備計画や設計図の情報を教えてくれた。
相手の本社では、そのようなこと冷たいから教えてくれない。
現場の人たちは、義理人情に厚いから、信頼できる人には何でも話してくれた。
涼しいオフィスで電話しているだけでは、何も本当のことは分からない。

カタログを請求されたら、郵送ではなく、直接持って行けと先輩から教わった。
訪問することで、相手の顔色がわかり、雰囲気、景気がいいか悪いか、分かると。

人に会って話をする。
この簡単でローテクな方法が非常に重要なのだ。


日本の商社が情報に強いというのも、世界に駐在する人々が現地の生の情報を持っているからだろう。
しかし、日本の商社からの情報が国家戦略に活用されていないのが残念だ。

英国では各地に滞在する商社マン、金融マンたちも仕事上知りえた情報を自発的に政府に提供する。
その国の政治、経済状況、有力者の性格、考え方、健康状態、王室の内部事情など様々な情報を送ってくる。
これらは本国で綿密に分析され、ファイルに蓄積される。
そして、全世界に散った外務省、国防省、SIS(英国秘密情報部)の要員からの情報をすり合わせ、外交交渉、国家戦略などに活用される。


●トム・ピーターズの現場主義


元海軍将校で経営コンサルタントのトム・ピーターズは次のように述べている。

・一流のコンサルタントは、どんな小さいことでも、最新極秘情報をじかに仕入れるために、一直線に現場に向かう。

・現場に強い味方を作れ。

・お偉いさんは、みんな現場にうとい。

・現場の人たちと常に接触している人はそれだけで、ライバルに大きく差をつけられる。

・現場に一番通じている者が一番勝つ。

・生の情報、イキのいい情報、切れば血が出るような情報を、現場の人たちが握っているというだけの話なのだ。

・情報マンに必要なのは、熱処理されていない情報である。

・本当の情報は、弾が飛んでくるところにある。
それをベトナム戦争で学んだ。
最前線に出かけよう。


・現場に行けばステキな人たちに会える。
「俺はここで25年働いているが、そんなことを本社から聞きに来た人間はあんたが初めてだ」。
そう言って大歓迎してもらえる。



●長谷川慶太郎流・スクープを取るコツ


経済評論家の長谷川慶太郎氏は、新聞記者時代よくスクープを取ったという。
それは他の記者があまり行かないようなところへ行くことだった。
そこはスクープどころか普通の記事のネタさえもなかった。
しかし、毎日せっせと通うことにより、情報を独占できたのだ。
一度行ったところに毎回行くと担当者と仲良くなり、シークレット情報も出てきたという。


※編集後記

昨日、新宿の「ハイアット・リージェンシー・東京」というホテルに行ってきました。
そこである電子部品メーカーの大規模な展示会があったのです。
小型カメラや通信技術などの最新情報が集まっていました。
多くのビジネスマンの中に、外国人の方々も見えていました。
日本の最先端技術を調査する各国情報部員もご来場していたかもしれません。
そう思うと何か映画の世界にいるようでした。

韓国情報機関トップの辞表受理

情報機関トップの辞表受理=韓国大統領 (時事通信)
 
【ソウル11日時事】韓国青瓦台(大統領府)によると、盧武鉉大統領は11日、金万福国家情報院長の辞表を受理した。金院長は昨年12月に北朝鮮を極秘訪問した際の会談録を自らマスコミなどに漏えいした責任を認め、1月15日に辞意を表明していた。 
[時事通信社]

※コメント

映画『タイフーン』で話題になった韓国情報機関である国家情報院。
その秘密工作と情報分析には定評がある。
いままで左派のノムヒョン政権で冷や飯を食わされていた情報機関だが、保守派の李明博次期大統領の下、活躍が期待される。

政府、秘密保全で法整備検討

政府、秘密保全で法整備検討(産経新聞)
2008.2.15 20:37
 政府の「情報機能強化検討会議」(議長・町村信孝官房長官)は情報漏洩(ろうえい)防止など秘密保全のための法整備に着手。
首相官邸の情報収集や分析力を高めるため、内閣情報調査室に新設される内閣情報分析官の役割などを盛り込んだ「官邸における情報機能の強化の方針」をまとめた。
また町村長官は、新法制定に向け二橋正弘官房副長官をトップとする検討チーム設置を指示した。

 方針によると、内閣情報分析官は、各省庁の情報を総合的に分析した情報評価書の原案を作成などを担当する。官民を問わず能力本位で選任し、専門性を確保するため任期を3年以上とした。

 また、警察庁や防衛省など各省庁の事務次官級をメンバーとする「内閣情報会議」を、内閣官房副長官補が参加するよう再編し、官邸の政策に必要な情報の収集、分析に重点的にあたる。


※コメント

政府全体のインテリジェンス能力アップを期待したい。
各行政官たちの教養を高めることが重要だ。
ハードな仕事を行うことも大事だが、たまには長期休暇を与え、国家百年の計を立案できる人物を官界から輩出してほしい。

瀬島龍三の情報力

瀬島龍三の情報力



徹底した読書

瀬島は伊藤忠に入社後、すぐにはビジネスの最前線には立たなかった。
シベリアから帰ってきて、間もないため現在の国内外の情勢は分からなかった。
無論、伊藤忠のトップも瀬島に営業を期待しているわけではなかった。
何よりも国際情勢を分析し、大局観にたった戦略を立てることを期待したのだった。
そのため、瀬島も入社しては、知識のインプットに徹した。
会社近くの日比谷図書館に通い、国内外の政治、経済、社会の情報収集、分析に努めた。
特に国際情勢の分析には力を入れた。主要国のみならず、アジア、アフリカなど世界全体を見渡した。
やがて、国際ビジネスにおいて、伊藤忠で一番の情報通となった。
瀬島の入社を決めた小菅宇一郎社長は次のように言っていた。
「瀬島さん、あなたは、商売をやらなければなんて考える必要はありません。わが社には、商売をやる人はたくさんいます。腕っこきの商社マンが。それより、瀬島さんに期待しているのは、刻々変わっている世界情勢をしっかりつかんでほしいのです。
その変化する国際情勢のなかで、われわれのような商社は、今後どう対処し、生きていくべきか。政治、経済、社会の動きのなかの商社が占める位置、あるべき姿を、大局的に確認してほしい。その瀬島さんの見方を会社の経営に反映することが、瀬島さんに会社へ来ていただいた理由です。」(菊池久『瀬島龍三』)



報告書の簡略化

昭和37年5月、瀬島は取締役になると同時に業務本部長になった。
業務本部は調査情報部、海外統括部などを統括する部署であった。
この本部に国内外の全支店、営業所、駐在から集まる情報を集約した。
瀬島はダラダラした報告を嫌い、起案書、報告書の簡略化を徹底指導した。
目的、趣旨、理由を2枚以内のペーパーにまとめさせた。

スパイと歴史

賢者は歴史に学ぶ、と言われる。
これはスパイにも言えることだ。
スパイは影の仕事とはいえ、ときには要人のパーティーに潜入して、教養ある会話をしなければならないからだ。
スパイ最高峰映画『007』で有名な英国情報部。
ここにリクルートされる人材はオックスフォード大学やケンブリッジ大学などの上流階級の多い名門大学出身者が多い。
現に映画の中のMI6(実際はSIS)責任者もオックスフォード出身だ。
彼らは大学で何を学んでいるのだろうか。
そう『歴史』を徹底的に勉強している。
もともとイギリス人の歴史好きは有名である。
各大学に歴史学部という形でひとつの学部があるくらいだ。
戦いは兵士だけではできない。
情報とロジスティクスを軽視して勝った将軍は聞いたことがない。
彼らは、大学時代、歴史を学ぶことにより、情報戦略の大切さをいやおうなく身につけて、情報部に胸を張って入るのだ。

スパイと地下鉄

世界各都市で活躍するスパイになるためには、その都市の地理に詳しくなくてはならない。
特に激しい情報戦が繰り広げられる首都には地下鉄が多い。
ロンドン、パリ、東京など。
その中でも東京は網の目のように地下鉄が張り巡らされていて、首相官邸は永田町だったか、赤坂見附だったか、と悩むことが多い。
路線図を見ただけでは覚えられないので、いろいろ乗ってみて、足で覚えるほうがいいだろう。
フランス映画『サムライ』の主人公で暗殺者のジョフ・コステロは地下鉄を熟知しており、追っ手からの逃走をうまくこなしている。
時に自分の足となる地下鉄は最高のツールだ。
しかし、ロンドンの地下鉄はサッチャー元首相の鉄道軽視政策のおかげで、ぼろく、がたがた揺れて時刻通りこないので、ロンドン駐在になったら要注意だ。

スパイの小遣い帳

スパイは当然、大臣秘書官に金を渡して、情報を獲得しなければならないときがある。
そんな時、登場するのが機密費。
表に出ない金だけに、私物化しようと思えば、できる。
そんなことしたら、自分の仕事に身が入らなくなり、身を滅ぼすのは当たり前。
ついついタバコを買うのに、機密費に手を出していたら、やがて私的にどんどん使ってしまうのが人間だ。
それを防ぐにはお小遣帳をつけるのが一番。
自分の中でも気持ちよく仕事に打ち込める。
日露戦争時、帝政ロシアに潜入して、レーニンに内乱を起こさせた明石元二郎。
彼は今で換算して100億円ぐらいの機密費を預けられて、それを工作資金に使い、ロシアの降伏を早めさせた。
これは一人で一個師団の働きをしたと評価された。
彼は帳簿にすべて用途を書いて、領収書をつけて、お釣りとともに提出したという。
彼のような高潔な人が今の日本にどれだけいようか。

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