『国際インテリジェンス最新事情』

国内外でのインテリジェンスに関する最新情報、分析をお届けします。 スパイ、謀略、国際政治、ビジネス情報戦、情報史、など盛り沢山の内容となっております。

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December 2008

●元内閣情報調査室長・大森義夫氏の著書『国家と情報』を読み解く

元内閣情報調査室長・大森義夫氏の著書『国家と情報』を読み解く




※ご挨拶
この度、まぐまぐ大賞2008のニュース・情報源部門に、本メルマガ「国際インテリジェンス機密ファイル」をノミネートしていただきました。
読者の方々に多くご推薦を頂いた賜物であります。
今後も皆様により楽しんでいただける情報を提供していく所存です。
よろしくお願いいたします。


●大森義夫氏の著書『国家と情報』を読み解く



元・内閣情報調査室長の大森義夫氏の著書『国家と情報』が興味深い。
国家の中枢で国際情報と向き合った彼の言葉には、重みがある。



●『国家の情報』の注目すべきポイント

・インテリジェンスの研究を通じて「人間」の心理と行動を深く考察し、読みの深い対人関係を涵養することが有用である


・経験以上に有効な武器は知性と感性である


・データベースを整備して政策決定者の補助をすることも情報として地道で大切な裏方作業である


・「私は祖国のために失う命を一つしか持たないことを悔やむのみ」
→アメリカ独立戦争の時、英国軍の動きを情報活動して捕まり、21歳で処刑されたネーザン・ヘイルの言葉(CIA本部の中庭に銅像がある)


・好奇心と行動力があれば情報力が出る


・情報力が出れば戦略思考ができる


・外交官とは贅沢をすべき職業だ


・慌てふためいて電話、とくに携帯で緊急会話することは国際情報戦から即レッドカードだ


・国家の情報機能は外交、インテリジェンス、軍事の3つのチャンネルで成り立っている


・終戦時の大本営情報参謀・堀栄三氏は、ニューヨークの株式市況を毎日聞いているうちに、薬品会社と缶詰会社の株が上がると米軍の攻勢があることを発見した


・フレッシュな知識は仲間の環を広げてくれる


・活力のある情報機関であるためにフィールドに飛び出していって畑の土のついた生材料を稼いでくる係員が必須である


・最近の警察官たちは世間話ができない


・フィールドパワー(現場働き)が組織の生命である


・ベルギーの情報機関トップを訪問した時「明日、時間つくれますか?古い美しい街があるから案内しましょう」と言われた
→そこでゆったりとヨーロッパ文明の歴史を語り、教養の広がりを覚えた


・現場は宝の山であり、現場情報は雄弁である


・情報分析とは直感力を頼りに多元的方程式をいっぺんに解こうとするようなアートの要素がある


・名優は大根役者から生まれる(歌舞伎の格言)


・「感性を養うこと」と「異性に関心を失わないこと」は相関関係にある


・ノリの良さは情報マンとして一級品である


・軽さと面白みのない官僚的なタイプは、情報には向かない


・情報の正確さは情報機関の人的能力の高さに比例する


・トップへの到達スピードが情報鮮度である


・常に正しい情報をもたらす情報組織はありえない


・最高の無形ノウハウは人材の継続であり、やる気の伝承である


・情報収集には金がかかる




※大森義夫氏の略歴
元内閣情報調査室室長。
1939年生まれ。
63年東京大学法学部卒と同時に警察庁に入庁、香港総領事館領事、警視庁公安部長、警察大学校長などを経て93年内閣官房に出向し、内閣情報調査室長。
同年NECに入社、常務、専務などを経て04年6月から顧問。
05年には外務省の「対外情報機能強化に関する懇談会」座長。  



※コメント
大森氏は、国の情報に関する責任者として各国の情報機関トップと会っている。
彼の話をよんでいると、各国のインテリジェンス機関の様子が垣間見えて面白い。
特に情報にはカネがかかると言うが、まさにその通りであると思う。
しかし、それを払っても面白い情報が入るのだから、役に立つというより、知的好奇心が活性化されるのは、何より幸せである。


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●ティム・ワイナー著『CIA秘録』から読み解く諜報活動とは

創設以来のCIAの歴史をひもといた著書『CIA秘録』(文藝春秋)が出版された。

http://www.bunshun.co.jp/book_db/3/70/80/9784163708003.shtml#


著者は、ニューヨーク・タイムズ紙のティム・ワイナー記者。
膨大なインタビューと文書分析から生み出された力作である。

諜報機関を二十年以上にわたって取材した調査報道記者が、その誕生から今日までのCIAの姿を全て情報源を明らかにして描いた衝撃の書。



彼のCIA(アメリカ中央情報局)と情報活動についての考え方をまとめてみた。




●CIAと諜報活動について(ワイナー記者の見解)

・紀元前5世紀、孫子は「敵を知れ」と説いた

・敵を知る唯一の道は対話だ

・特に対象国の言語に精通した要員の育成は欠かせない

・CIAの任務は創設以来、敵国の奇襲を阻み、長期的な外交戦略を構築する上での情報を政権に提供すること

・失敗を重ねているのは、CIAではなく大統領だ
→組織に関する知識をもたずに命令を下し、問題の解決を安易に要求する

・大統領はCIAに、自分がもつ偏見の立証を求め、先入観を補強する材料を求める

・CIAの崩壊を招いたのは、議会でもマスコミでもなく、大統領の怒りなのだ

・2004年7月、ブッシュ大統領は報道陣を前に「当てずっぽう言っているだけだ」と批判した
→大統領の軽い一言がCIAの喉元を切り裂いた
→CIAの死が始まった瞬間だった

・オバマ次期大統領は諜報が軍事、外交の道具であることを知っている

・諜報は、軍、外交政策と融合し、大統領に役立てられなければならない

・諜報は間違いなく、祖国のための仕事なのだ




●ティム・ワイナー著『CIA秘録』の内容・目次


第1部 トルーマン時代

・「諜報はグローバルでなくては」誕生前

・「力の論理」創設期

・「火をもって火を制す」マーシャル・プラン ほか

第2部 アイゼンハワー時代

・「わが方に計画なし」スターリン死す

・「CIAの唯一、最大の勝利」イラン・モサデク政権転覆

・「爆撃につぐ爆撃」グアテマラ・クーデター工作


第3部 ケネディ、ジョンソン時代

・「どうしていいか、だれにも分からなかった」ピッグズ湾侵攻作戦

・「われわれは自らも騙した」キューバ・ミサイル危機1

・「喜んでミサイルを交換しよう」キューバ・ミサイル危機2


第3部 承前 1961年~1968年 ケネディ、ジョンソン時代

・「知恵よりも勇気」マコーンの辞任

・「長い下り坂の始まり」新長官、ラオス、タイ、インドネシア ほか


第4部 1968年~1977年 ニクソン、フォード時代

・「あの間抜けどもは何をしているのだ」ニクソンとキッシンジャー

・「米政府は軍事的解決を望む」チリ、アジェンデ政権の転覆 ほか

第5部 1977年~1993年 カーター、レーガン、ブッシュ・シニア時代

・「カーターは体制の転覆を図っている」カーター人権外交

・「ただぐっすり寝込んでいたのだ」イラン革命

第6部 1993年~2007年 クリントン、ブッシュ時代

・「われわれにはまったく事実がなかった」ソマリア暴動

・「一体全体どうして分からなかったのか」エームズ事件 ほか)



●ティム・ワイナー 略歴
ニューヨーク・タイムズ記者。
1956年ニューヨーク生まれ。
CIA、国防総省などのインテリジェンスを30年近くにわたってカバーしている。
ニューヨークのタウン紙『ソーホー・ニュース』からそのキャリアをスタートし、『フィラデルフィア・インクワイアラー』に移籍。
調査報道記者として国防総省、CIAの秘密予算を明るみにだし、1988年ピューリッツアー賞を受賞。
1993年『ニューヨーク・タイムズ』紙に移籍、99年までワシントン支局でCIAを担当。
94年にはCIAの自民党に対する秘密献金の存在をスッパぬき、日本の新聞全紙が後追いをした。
本書は、全世界27ケ国で発行される。この日本語版のために冷戦崩壊以降の日本に対する経済諜報(第46章)など、新たに2章分を書き下ろしている。



●噂、伝聞一切なし。日本版編集者が伝える『CIA秘録』の「凄味」

1) 5万点の機密解除文書。
10人の元長官を含む300人以上のインタビュー すべて実名証言で書かれた「CIAの本当の歴史」

2) CIAの秘密工作がいかに失敗を重ね、アメリカの国益を損ない、それをいかに隠蔽したかを暴露。

3) 全米で30万部のベストセラー、全米図書賞を受賞した本書(原題『Legacy of Ashes』に CIAは公式ホームページで必死の反論を掲載する事態に。
https://www.cia.gov/news-information/press-releases-statements/press-release-archive-2007/legacy-of-ashes.html
4) 日本版のために著者は2章分を書き下ろし。
「CIAによる自民党に対する秘密献金」「日米自動車交渉での経済諜報」などが明らかに。

5) 嘘をつくことで成り立つ「大義」のもと壊れていく秘密工作本部長の心。
猟銃で頭を打ち抜き、病院の窓から飛び下りる幹部たちの「心の闇」を描くにいたって本書は黙示禄的な凄味を帯びる。


以上


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