『モサド〜暗躍と抗争の六十年史〜』はイスラエルの諜報機関モサドの素顔に迫った一冊である。
いままで、モサドが関わってきた案件、組織の歴史を詳しく解説している。
モサドの全貌が分かる貴重な文献だ。

著者は、小谷賢氏。
防衛省防衛研究所戦史部教官で、現在、英国王立防衛安保問題研究所・客員研究員である。
専門は、イギリス政治外交史、インテリジェンス研究。




●『モサド〜暗躍と抗争の六十年史〜』の注目すべきポイント


・モサドは少ない人員の割には、高いパフォーマンスを誇る組織である

・モサドのスタッフ数は1500〜2000人程度

・モサドは世界中に張り巡らされた、ユダヤ人情報網によって情報収集活動を行う対外情報組織


※モサドの存在意義

・アラブ諸国に関する情報を集め、イスラエル国家の安全保障を確立する

・モサドが首相に直結する情報機関となることで、他の情報組織をまとめる

・モサドとCIAの関係によって、イスラエルとアメリカの関係を裏から支える


※モサドの具体的任務

・イスラエル国外の秘密情報収集

・敵国の大量破壊兵器の入手、開発の阻止

・国外のイスラエル人をターゲットにしたテロリズムの防止

・外務省連絡事務所が公式に活動できない地域において、ユダヤ人の帰国を援助する

・作戦、政治、戦略情報の作成

・イスラエル国外における特別工作の実施

・非公式の外交関係の維持



・21世紀になってもイスラエル国家にとって、モサドがその外交・軍事戦略を支えていく上で不可欠の存在であることにかわりない


以上

※分析メモ

モサドに関する書籍は数多い。
また、伝説的な情報員もいる。
ウォルフガンク・ロッツは、ドイツ人ビジネスマンになりすまし、エジプト政府と軍を手玉に取った。
彼は、スパイのための本をかいており、これがまた面白い。

基本的に情報部員は教養が高いため、作家やジャーナリストにすぐに転身できると言う。
イスラエルの政治家は、インテイリジェンスや軍の出身者が多い。

その国の求められるものによって、政治家も生まれるのだろう。



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