元・外務省国際情報局長、元・駐イラン大使の孫崎享氏が書いた最新刊『情報と外交』に注目したい。
外務省の中でも情報畑を歩いてきた彼の情報論は、なかなか鋭い。
各国情報機関との交流話や国際関係学の学者たちの話が多く紹介されており、興味をそそる。




■孫崎享『情報と外交』の注目すべきポイント

・今日の分析は今日のもの、明日は豹変する

・貴重な情報はカクテルパーティーや食事の席上で出る

・サロンは集まる人間の身元が知れているので重要な話がポロリとでる

・元・駐ドイツ大使・渋谷治彦氏は、書記官時代にドイツの経済閣僚へ日本経済のレクチャーをした
→代わりに欧州通貨の極秘情報を引き出していた
→当時「渋谷情報」は外務省で猛威を振るっていた

・現場に行け、現場に聞け

・MI6は徹底して「現場に行け、現場に聞け」の原則を重視

・任国の中枢に食い込むことが英国情報組織の鉄則

・情報マフィアに入れ

・外部の者がアメリカ国務省政策企画部レベルの人と接触する一番確実な道は「フォーリンアフェアーズ」誌を読むこと

・大国の優先順位を知れ
→地域がこれにどう当てはまるか

・「SWOOP」という元CIA分析官らが運営するサイトがある
→情報源に喰い込んだサイトと評価が高い

・情報に金を惜しむな、人を大事にせよ

・「小説や劇が一個の情報に関する有益な情報を内蔵している場合がある」
(アレン・ダレス)

・「インテリジェンスとは行動のための情報である」
(ロバート・ボウイ元CIA分析部長)

・歴代MI6(SIS)長官の経歴を見ると外国経験が長く、いくつかの語学を習得している
→2009年就任のジョン・ソワーズは、国連大使、首相補佐官を歴任
米国、イエメン、南アフリカ勤務
大学では物理学、哲学専攻
趣味は演劇、ハイキング、テニス

・情報は、15秒で話し、一枚で報告せよ
→特に忙しい大統領や総理大臣、幹部に対しては短く報告せよ

・伝達こそ情報の核


※分析メモ
上司へ報告はついつい長くなってしまうものだ。
短くコンパクトな報告は難しい。
よい情報でも報告ひとつで変な方向へ言ってしまう。
特にメールでの報告は誤解を招きやすい。
自戒をこめて、情報収集と同じくらいアウトプットを重視していきたい。



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