◆佐々淳行『インテリジェンスのない国家は亡びる:国家中央情報局を設置せよ』を読み解く
佐々氏は元・内閣安全保障室長。
警察官僚出身で、警備公安畑、情報畑の経験が長い。
※要旨
・警備、危機管理の極意は、的確な危機予測。
余計なお世話の忠告により「予防」して何ごとも起こさないことが大事。
・為政者はどのボタンを押せばどこが開くか、その仕組みを為政者は熟知していなければならない。
・イスラム教国であれば宗教関係者や族長といった人々と人間関係を築いておかないことには、
本当に役立つ一次情報は手に入らない。
会ったこともないのに、緊急時だから情報をくれといってもムリというものだ。
まして影響力を持つ人間を動かすことなどまったく不可能である。
・アルジェリア人質事件などのときも、宗主国フランスの秘密情報機関か、
イスラム・テロの筋がよめるイスラエルのモサドに情報提供を求めるのが常道である。
米英情報機関にとっては、フランス領だったマリやアルジェリアの裏情報は得意技ではない。
・「インテリジェンス」という価値観を持て。
政府高官らとの意思疎通はもちろん重要だが、
平時から「裏」の世界と「表」の世界の境界線に関する知識や人脈がないと、
国家レベルの事件、事案に手も足も出ないことになる。
・インテリジェンスとは何か。
これは、今あるいは将来において何が必要なのかを把握し、
そのための課題を設定して企画を立案、情報を収集・分析したものを指す。
選別され、加工されたインフォメーションなのである。
・今、日本に必要なのは見下されて使い捨てられる忍者ではなく、
意思決定のための情報収集と分析のプロフェッショナルを集めた機関、
内閣直轄の強力なインテリジェンス機関なのだ。
・戦時中の通信社は目であり耳であった。
1936年に合併してできた同盟通信社は、東洋最大の通信社としてアジアをほぼ網羅していた。
事実上の国策会社であり、各地に配置された特派員は、
日本が国際社会の情報を収集するための目であり耳であった。
・新聞記者や通信社の特派員などジャーナリストの仕事と、
インテリジェンス担当者の仕事はよく似た部分が多い。
価値ある情報を探し、裏付けを取り、記事やレポートにするわけだ。
・提唱する国家中央情報局において、インテリジェンスとともに国際危機管理の大きなテーマとなっているのが、
在留邦人の保護・救出、すなわちエバキュエーションである。
・いかなる政府も、非常事態への対応計画を持っている。
内閣危機管理監や各省の危機管理担当部署のレベルでは精緻に作成され、保管されているはずだ。
問題は、それを誰がどうやって担当し、指揮するかである。
・情報の基本となるのは、ヒューミント(人間からの情報)であり、
その重要性は他とは比べものにならない。
外国の情報機関と個人的な付き合いがあれば、
「公式には手に入らないはずの情報が手に入る」「入れないのが建前の場所にも立ち入ることができる」のである。
だからこそ、ヒューミントの強化が決定的に重要になる。
・秘密保護のできない情報機関に、各国の情報機関は真物の情報をくれない。
※コメント
佐々氏の本は長年チェックしているが、年を重ねるごとにぶっちゃけ話が増えてきて面白い。
83歳になられているので、国のために役立つ内緒話は、提供しようとされているようだ。
いやーしかし、そこまで言っちゃっていいの?という情報もどんどん書いていただき、ありがたい。
★佐々淳行『インテリジェンスのない国家は亡びる』の詳細、amazon購入はこちら↓
http://amzn.to/1dLwa9m
◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご紹介。
ご登録はこちらです↓
http://www.mag2.com/m/0000258752.html
世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。これを読めば貴方も一流のスパイになれるかもしれません。