◆本間長世『共和国アメリカの誕生、ワシントンと建国の理念』を読み解く
※要旨
・ジョージ・ワシントンを抜きにして、アメリカ共和国の建国を語ることはできない。
・本書は、北アメリカにおける13のイギリス植民地が団結して本国から独立して、
成文憲法を制定して連邦共和国として出発するまでの物語を、
この時期を通して活躍した主要な人物達の思想と行動に照明をあてながら、
述べたものである。
・登場人物には、近代日本の初期からよく知られたワシントン、
ベンジャミン・フランクリンはいうまでもなく、トマス・ジェファソン、
アレクサンダー・ハミルトン、ジェームズ・マディソンなどの政治家や、
マサチューセッツに移住したピューリタンたちの指導者ジョン・ウィンスロップがいる。
・革命期に多くの優れた人材を輩出させたヴァジニア、マサチューセッツ、
ニューヨークについては、これも日本人にはよく知られてきたジョン・スミスとポカホンタスの物語、
セーラムの魔女裁判、創られた神話であるリップ・ヴァン・ウィンクルの物語を振り返ってみた。
・今日のアメリカにおいては、ほとんど毎月のように建国期の指導者の何れか、
あるいはその組み合わせを扱った書物が出版され、
数百ページという分厚い伝記がベストセラーのリストにのり続けているという現象が見られる。
・自己のおかれた状況の下で最善の解決をはかり、
人々の支持を取り付けるというリーダーシップの見事な例を学ぶことは、
今日切実に求められていることだといえる。
・今日から見ると、ワシントンはつねにアメリカの統合のための求心力を
発揮し続けたように思われるが、それぞれに異なる13の植民地を結合し、
気風も考えも、利害も多様な人びとを一つの国民にまとめて連邦共和国を形成し、
ヨーロッパ諸帝国間の争いに振り回されず、生まれたばかりの国の安全と発展の
基礎を築くのは容易なことではなかった。
・大統領に就任してからは、腹心と頼むマディソンとハミルトンが鋭く対立し、
ワシントンの足元で、彼が望ましくないと嫌っていた党派の対立が、
政党政治の誕生を導いて行った。
・しかし、それだけに、アメリカ建国の物語は波瀾に富み、政治史として、
また政治思想史として興味深く、その中でワシントンの存在が際立つのである。
・ワシントンは、ヴァジニアの奥地を測量し、目を西方に向け、
大農園の経営を通じて指導者としての資質を磨いた。
フランクリンは、フィラデルフィア、ロンドン、パリで活躍した都会人であり、
ワシントンと同じく大学教育は受けてなかったが、独学で当時の最高のレベルの教養人となり、
自然科学者としても高い尊敬を受けるに至った。
ジョン・アダムスを歯ぎしりさせるほどのヨーロッパ的洗練さを身につけ、
著作においては皮肉とユーモアを巧みに用いて、
アメリカ文学史から落とすことのできない存在であり続けている。
・ワシントンが亡くなってすぐに、墓の傍でワシントンの名誉を讃える儀式を行った団体は、
フリーメイソンだった。
18世紀のアメリカではフリーメイソンの活動が活発で、支部の数も増え、
社会の上層の人びとで会員になる者が多かった。
会員だったベンジャミン・フランクリンは、フリーメイソンの大いなる秘密は、
何も秘密を持っていないことだという警句を吐いていた。
・ワシントンがアメリカ国民に残した遺産は、成文憲法を持つ連邦共和国であり、
その理念は「自由」「平等」そして「ナショナル・ユニオン」だった。
・これまで見てきたように、ワシントンのリーダーシップのみで革命を達成されたわけではない。
「建国の父たち」の範囲をどう考えるにせよ、ハミルトン、ジェファソン、マディソン、
ジョン・アダムズを始めとして、その後のアメリカ史にも見られないほどに傑出した人材が、
一斉に輩出して、時に互いに対立しながらも、大事業を成就させたのである。
※コメント
アメリカの歴史は浅いといわれ、あまりアメリカ史に目を向けてこなかったが、
ドラマチックでおもしろい。
もちろん建国という大事業においてはキレイごとだけではなく、ドロドロしたところもあっただろう。
そういう面もふくめて勉強になる。
なお諜報業界では、ワシントンは、スパイ使いの上手さに定評があり、その尊敬を集めている。
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