◆河口健太郎『ルポ・橋下徹』を読み解く
※要旨
(敬称略)
・大阪社会部で大阪府庁と大阪市役所を担当する記者は計8人。
700回近くを数えた大阪維新の会のタウンミーティングや、
橋下氏が39回にわたって行った大阪市の住民説明会、
日々のぶらさがり取材や記者会見のほぼすべてを
8人のチームで取材し続けた。
・橋下はツイッターのフォロワー(読者)が100万人を超え、
日本の政治家では最大級の規模だ。
ツイッターによって大きな発信力を持つ。
・大阪都構想の主張に関する背景には、
衰退を続ける大阪経済への危機感があった。
大手企業の本社機能は相次いで東京に移り、
事業所数は1980年代半ば8割以下に落ち込んだ。
完全失業率や生活保護率も全国平均を大幅に上回っていた。
・「初めて出会った日から、橋下さんは只者じゃないと思った。
吸収力がすごい。
役人の使い方もすごいうまい。
役人に案を作らせて、私たち顧問が足りない部分を指摘すると、
役人側は抵抗する。
それぞれの言い分を言わせた上で、裁判官のように仕切る。
その辺の技は大阪府知事になって2年目ごろから冴えてきた」
(上山信一・慶応義塾大学教授、大阪府市顧問)
・「大阪都構想は大阪市役所の改革の集大成でもある。
もし実現していたら、国鉄や郵政改革に匹敵する
全国レベルの大改革になっていたと思う」
(上山信一)
・桃園の誓い。
2009年12月25日の夜だった。
大阪府庁にほど近いレストランバー『エルカミーノ』で、
自民党大阪府議団と訣別した2人の異端児が、
大阪府知事の橋下徹を囲んでいた。
一人は2期目の松井一郎、もう一人は3期目の浅田均。
・松井と浅田はワインを傾けながら、
橋下をけしかけた。
「新しいローカルパーティを旗揚げせなあかん。
橋下さんにはトップになって欲しい」
・大阪市城東区の選挙区が地盤の浅田氏は、
のちに大阪都構想の理論的な支柱となる。
白髪交じりの癖毛がトレードマーク。
米スタンフォード大学大学院に留学し、
経済協力開発機構での勤務経験がある。
英語、ドイツ語、フランス語の3ヶ国語が堪能な国際派だ。
・浅田が「一郎君」と呼んでかわいがる松井氏や、
上山信一らと一緒に温めてきたのが、
「大阪再生マスタープラン」だった。
キーワードは、「大阪の貧困」だ。
・2009年のクリスマス会合で、
浅田や松井は、この大阪再生マスタープランの原案を
橋下に示した。
「大阪府とか大阪市とか、どうでもええねん。
どっちもつぶして、『ワン大阪』にしようや」
・2014年の衆院選へ立候補する構えを見せていた
橋下に接近した政界のキーマンがいる。
安倍政権の番頭である菅義偉・官房長官である。
橋下を創価学会の幹部につないだのも菅だった。
・橋下や松井と気脈を通じている菅は、
創価学会の選挙戦略を取り仕切る佐藤浩副会長とも太いパイプを持つ。
安倍首相の懐刀である菅としては、
首相が意欲を示す憲法改正に前向きな橋下を取り込んでおく必要があった。
・大阪市役所を3つの大きな権力が取り巻いている。
大阪市の幹部職員や政界関係者の間では、
長らくそう語られてきた。
一つは、関西創価学会。
もう一つは、大阪市の職員が加入する労働組合。
そして、大阪市の24区に張りめぐらされた、
自治会組織『大阪市地域振興会』だ。
・橋下の自宅の近所に住んでいた中学時代の同級生は、
「銭湯帰りに公園に友達が集まってみんなで夜遅くまで騒いでも、
次の日のテストで橋下だけ90点とか100点を取っていた。
いつ勉強してんねん、と思っていた」
と語る。
・橋下が掲げた地下鉄の民営化構想は、
「官から民へ」という自身の政治理念を凝縮させたものだった。
民間感覚を取り入れたコスト削減と顧客サービスの向上、
大阪市域中心から大阪府域や関西全体を考えた交通網の整備、
日本最大の職員数を抱えるメガ市役所のスリム化、
市長選の集票マシンを担っていた交通局の職員労組の解体。
橋下は、
「自治体改革の象徴」
「大阪に関西発展の起爆剤にもある超優良企業が誕生する」
と強調した。
・橋下の行政運営の特徴は、
外部人材を積極的に登用することだ。
政策の立案でも外部の知恵を取り入れた。
上山信一教授や中田宏、古賀茂明ら、その数は50人を超え、
アイドルグループのAKB48になぞらえて、
「中之島48」と揶揄された。
・「好き嫌いが分かれるけれど、
橋下さんは圧倒的な発信力と緻密な思考力を兼ね備える、
大阪政界100年に1人の逸材だ。
人をまとめるのは苦手だが、
そこは大阪維新の会幹事長である松井一郎さんの仕事でしょう」
(浅田均・大阪維新の会政調会長)
・「彼は政治生命をかけて、本当に頑張ってきた。
これからは彼がいつでも帰って来られるように、
大阪維新の会を発展させていくのが、党に残る私たちの仕事だ。
橋下さんが維新に復帰するときは必ずきます。
そして再び先頭に立ってくれると確信しています」
(浅田均)
・引退を表明した瞬間から求心力が急降下するのが政治家の宿命だ。
だが、橋下の政界復帰説は途絶えることがない。
・「知事のときに驚いたのは、
大阪全体の成長戦略など大都市戦略を計画する組織がなかったこと。
『大阪市内のことは市役所です』と言われた。
大都市戦略がしないで完結していた時代は終わり、
市内外にまたがる計画を作って実行しなければならない」
(橋下徹)
・「大阪都構想の目的は、大阪を『副首都』にし、
活気ある国際都市にすることだ。
中央省庁の分散で企業の本社機能は大阪にも集まる。
行政、企業活動が阻害されないよう東京とリニア中央新幹線で結ぶ。
首都機能のバックアップ都市に位置づけながら、
経済成長戦略を進める」
(橋下徹)
本書は、朝日新聞大阪社会部の取材チームによって書かれた。
どちらかというと、
橋下氏に批判的スタンスで書かれているが、
大阪のしくみを知る上で、面白い。
※コメント
本書はどちらかというと、
橋下氏に批判的なネタであるが、
一連の流れを理解するには、面白く読める。
地方自治のしくみや大阪経済の構造などについて、
学べる。
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