目次
●商社のローテク情報収集術
●トム・ピーターズの現場主義
●長谷川慶太郎流・スクープを取るコツ
イキのいい情報とはどこにあるのだろうか。
もちろん本、新聞、雑誌、インターネットの公開情報を読み込むことは重要である。
その上で鮮度の高い情報は、現場にゴロゴロ落ちている。
●商社のローテク情報収集術
商社にいたときにそれを実感した。
私は、自動車関連メーカーと大規模な産業機械を取引していた。
そのようなものを取引するためには、客先の工場に何度も足を運び、現場の人の話を聞かないと情報は入らない。
そうすると、工場の設備計画や設計図の情報を教えてくれた。
相手の本社では、そのようなこと冷たいから教えてくれない。
現場の人たちは、義理人情に厚いから、信頼できる人には何でも話してくれた。
涼しいオフィスで電話しているだけでは、何も本当のことは分からない。
カタログを請求されたら、郵送ではなく、直接持って行けと先輩から教わった。
訪問することで、相手の顔色がわかり、雰囲気、景気がいいか悪いか、分かると。
人に会って話をする。
この簡単でローテクな方法が非常に重要なのだ。
日本の商社が情報に強いというのも、世界に駐在する人々が現地の生の情報を持っているからだろう。
しかし、日本の商社からの情報が国家戦略に活用されていないのが残念だ。
英国では各地に滞在する商社マン、金融マンたちも仕事上知りえた情報を自発的に政府に提供する。
その国の政治、経済状況、有力者の性格、考え方、健康状態、王室の内部事情など様々な情報を送ってくる。
これらは本国で綿密に分析され、ファイルに蓄積される。
そして、全世界に散った外務省、国防省、SIS(英国秘密情報部)の要員からの情報をすり合わせ、外交交渉、国家戦略などに活用される。
●トム・ピーターズの現場主義
元海軍将校で経営コンサルタントのトム・ピーターズは次のように述べている。
・一流のコンサルタントは、どんな小さいことでも、最新極秘情報をじかに仕入れるために、一直線に現場に向かう。
・現場に強い味方を作れ。
・お偉いさんは、みんな現場にうとい。
・現場の人たちと常に接触している人はそれだけで、ライバルに大きく差をつけられる。
・現場に一番通じている者が一番勝つ。
・生の情報、イキのいい情報、切れば血が出るような情報を、現場の人たちが握っているというだけの話なのだ。
・情報マンに必要なのは、熱処理されていない情報である。
・本当の情報は、弾が飛んでくるところにある。
それをベトナム戦争で学んだ。
最前線に出かけよう。
・現場に行けばステキな人たちに会える。
「俺はここで25年働いているが、そんなことを本社から聞きに来た人間はあんたが初めてだ」。
そう言って大歓迎してもらえる。
●長谷川慶太郎流・スクープを取るコツ
経済評論家の長谷川慶太郎氏は、新聞記者時代よくスクープを取ったという。
それは他の記者があまり行かないようなところへ行くことだった。
そこはスクープどころか普通の記事のネタさえもなかった。
しかし、毎日せっせと通うことにより、情報を独占できたのだ。
一度行ったところに毎回行くと担当者と仲良くなり、シークレット情報も出てきたという。
※編集後記
昨日、新宿の「ハイアット・リージェンシー・東京」というホテルに行ってきました。
そこである電子部品メーカーの大規模な展示会があったのです。
小型カメラや通信技術などの最新情報が集まっていました。
多くのビジネスマンの中に、外国人の方々も見えていました。
日本の最先端技術を調査する各国情報部員もご来場していたかもしれません。
そう思うと何か映画の世界にいるようでした。
突然で恐縮ですが元商社マンであられたということで、ご意見を伺いたく投稿させて頂きました。
先日、「テロ等の危機管理において、総合商社は各社ともクロール社やコントロール・リスクス社などの英米の情報会社と契約し情報収集を図っている」と耳にしたのですが、総合商社内部には上記のような情報会社のカウンターパートナーの機能を担う部門が存在するということなのでしょうか。
また仮に存在するならば、概して部門ごとの縦割り組織が形成され情報が共有されにくい商社において、複数の部門の駐在員からの情報を統括する部門としても機能しているのでしょうか。
不躾ながらコメント欄にて質問させて頂きました。お返事お待ち申し上げております。どうぞ宜しくお願い致します。