●『諜報・技術〜ラインハルト・ゲーレン回顧録〜』を読み解く



第二次大戦中、ドイツの対ソ連諜報活動で活躍した男がラインハルト・ゲーレンである。
彼は、ドイツの敗北を早くから察知した。
将来のアメリカが、ソ連と敵対すると確信する。
ゲーレンが作り上げた対ソ情報網をそのまま残し、終戦後、アメリカに協力した。

西ドイツが主権回復後、ゲーレンはドイツ連邦情報局(BND)初代長官となり、対ソ連情報活動の中心となる。

長官退職後、下記の回顧録を書いた。
それは彼が、どのような過程で情報の世界へ入ったか、第二次大戦中、冷戦時の活動、情報活動の心得、将来の世界予測などが緻密に書かれている。





『諜報・技術〜ラインハルト・ゲーレン回顧録〜』のポイント


・秘密情報任務の本質は、すべてを知る必要を別にすれば、歴史的潮流をフォローし、それを将来に投影する能力である。

・情報機関の組織は、部外者に対してはできるだけ不透明で複雑でなければならない。
しかし、各自が自分に何を期待されているか知っていなければならない。


・「将来の情報機関に関するメモ」(1952年5月21日、ゲーレン記す)

→連邦情報局の役割は、海外におけるあらゆる種類の情報資料の完全な収集である。
イギリス及びアメリカにおける同様、謀略情報その他の資料の収集は、完全に、党派に関係なく、国益をむねとして行われなければならない。




●ラインハルト・ゲーレン紹介


ラインハルト・ゲーレン (1902年〜1979) はプロイセン中産階級出身のドイツ軍人。

1938年、第18砲兵連隊・中隊長。

1942年より、対ソ連諜報を担当する陸軍参謀本部第12課「通称:東方外国軍課」の課長を務めた。
これは全東部戦線に責任を持つ情報機関の長である。

ドイツ諜報活動の中心人物の一人である。
ゲーレンはドイツが降伏すると、防水ケース50個に詰め込まれた飛行場、発電所、軍需工場、精油所等のソ連軍事情報を手土産に部下ともにアメリカ軍に投降した。

戦後、米軍情報機関に協力して生き残り、ゲーレン機関を設立した。

ゲーレンは、アメリカと紳士協定を結んだ。
・ソ連情報を渡す代わりに、アメリカから資金提供すること
・ドイツ再建の時は、ゲーレン機関をドイツが引き継ぐ
などであった。

アメリカ軍は、冷戦に備えて対ソ諜報網の重要性を認識し、ゲーレンを手厚く保護、彼が組織したスパイ網を利用した。
ゲーレンはCIAと協力し対ソ諜報戦の中心人物となる。

ゲーレン機関のスパイ網は広くソ連・東欧諸国に張り巡らされた。
1955年に創設された西ドイツの諜報機関であるドイツ連邦情報局(BND)の初代長官を1968年まで務めた。



※コメント

ゲーレンは何よりもズタズタになった祖国のことを考えていた。
そして、激しい国際関係の中で「情報」こそが価値を生むと強く認識していた。
ゲーレンの回顧録を読みながら、情報の使い方で、状況を良くも悪くもできると感じた。