元内閣情報調査室長・大森義夫氏の著書『国家と情報』を読み解く




※ご挨拶
この度、まぐまぐ大賞2008のニュース・情報源部門に、本メルマガ「国際インテリジェンス機密ファイル」をノミネートしていただきました。
読者の方々に多くご推薦を頂いた賜物であります。
今後も皆様により楽しんでいただける情報を提供していく所存です。
よろしくお願いいたします。


●大森義夫氏の著書『国家と情報』を読み解く



元・内閣情報調査室長の大森義夫氏の著書『国家と情報』が興味深い。
国家の中枢で国際情報と向き合った彼の言葉には、重みがある。



●『国家の情報』の注目すべきポイント

・インテリジェンスの研究を通じて「人間」の心理と行動を深く考察し、読みの深い対人関係を涵養することが有用である


・経験以上に有効な武器は知性と感性である


・データベースを整備して政策決定者の補助をすることも情報として地道で大切な裏方作業である


・「私は祖国のために失う命を一つしか持たないことを悔やむのみ」
→アメリカ独立戦争の時、英国軍の動きを情報活動して捕まり、21歳で処刑されたネーザン・ヘイルの言葉(CIA本部の中庭に銅像がある)


・好奇心と行動力があれば情報力が出る


・情報力が出れば戦略思考ができる


・外交官とは贅沢をすべき職業だ


・慌てふためいて電話、とくに携帯で緊急会話することは国際情報戦から即レッドカードだ


・国家の情報機能は外交、インテリジェンス、軍事の3つのチャンネルで成り立っている


・終戦時の大本営情報参謀・堀栄三氏は、ニューヨークの株式市況を毎日聞いているうちに、薬品会社と缶詰会社の株が上がると米軍の攻勢があることを発見した


・フレッシュな知識は仲間の環を広げてくれる


・活力のある情報機関であるためにフィールドに飛び出していって畑の土のついた生材料を稼いでくる係員が必須である


・最近の警察官たちは世間話ができない


・フィールドパワー(現場働き)が組織の生命である


・ベルギーの情報機関トップを訪問した時「明日、時間つくれますか?古い美しい街があるから案内しましょう」と言われた
→そこでゆったりとヨーロッパ文明の歴史を語り、教養の広がりを覚えた


・現場は宝の山であり、現場情報は雄弁である


・情報分析とは直感力を頼りに多元的方程式をいっぺんに解こうとするようなアートの要素がある


・名優は大根役者から生まれる(歌舞伎の格言)


・「感性を養うこと」と「異性に関心を失わないこと」は相関関係にある


・ノリの良さは情報マンとして一級品である


・軽さと面白みのない官僚的なタイプは、情報には向かない


・情報の正確さは情報機関の人的能力の高さに比例する


・トップへの到達スピードが情報鮮度である


・常に正しい情報をもたらす情報組織はありえない


・最高の無形ノウハウは人材の継続であり、やる気の伝承である


・情報収集には金がかかる




※大森義夫氏の略歴
元内閣情報調査室室長。
1939年生まれ。
63年東京大学法学部卒と同時に警察庁に入庁、香港総領事館領事、警視庁公安部長、警察大学校長などを経て93年内閣官房に出向し、内閣情報調査室長。
同年NECに入社、常務、専務などを経て04年6月から顧問。
05年には外務省の「対外情報機能強化に関する懇談会」座長。  



※コメント
大森氏は、国の情報に関する責任者として各国の情報機関トップと会っている。
彼の話をよんでいると、各国のインテリジェンス機関の様子が垣間見えて面白い。
特に情報にはカネがかかると言うが、まさにその通りであると思う。
しかし、それを払っても面白い情報が入るのだから、役に立つというより、知的好奇心が活性化されるのは、何より幸せである。


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