北野幸伯氏の『隷属国家日本の岐路〜今度は中国の天領になるのか?〜』を読み解きたい。
http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=4-478-00702-0


複雑な日本と国際情勢の関係を非常に分かりやすく、書かれている。
また、著者の異色な経歴が本の面白さを際だたせている。
北野幸伯氏は、1970年生まれの国際関係アナリスト。
現在、ロシアに在住しながら人気メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」を発行している。
http://www.mag2.com/m/0000012950.htmlちなみにこのメルマガは、まぐまぐ大賞2008年ニュース・情報源部門一位を獲得している。

彼は、卒業生の半分は外交官、半分はKGBに行くと言われるエリート大学、ロシア外務省付属モスクワ国際関係に留学し卒業している。
独自の視点から書かれた国際関係の本は、一読の価値がある。


●『隷属国家日本の岐路』の注目すべきポイント


・政治経済というのは、案外因果関係がはっきりしている

・ドル体制が崩壊しつつある

・ロシアは自国通貨ルーブルを「世界通貨」にしようと企んでいる

・日本は「物つくり」の空洞化を容認するべきではない

・日本はアメリカのように製造業を捨ててはいけない

・大減税で日本はよみがえる

・外交とは国益を追求する手段である

・外交上の国益とは金儲けと安全の確保である

・日本政府は外国に行って「日本に投資してください」と営業すべき

・日本の安全保障政策・外交の最重要課題は、「中国の脅威にどう対応するか」という一点に尽きる

・日本は食糧自給率100%を目指すべき

・欧米では「日本食は健康にいい。ダイエットにいい」と世界最高の評価を得ている

・日本はエネルギー自給率100%を目指すべき

・メタンハイドレートが日本を救う

・メタンハイドレートとは「凍結状態のメタンガス」であり、ほとんど海底にある

・日本近海は、なんと世界最大のメタンハイドレート量を誇っている

・日本は世界最大のエネルギー資源大国になる可能性がある

・日本とユダヤに共通しているのは、「大部分の子供が、幼い頃から基礎的な学問をやっていた」ということ

・基礎的な学問とは、読み書きソロバンと歴史や古典の研究だった

・ユダヤの優秀さは、教育の賜物

・「学ぶ」ことは、「覚える」こと

・「記憶力がいい」というのと「学ぶ力が高い」というのは同じ意味

・創造力は、その分野に必要なことをすべて記憶した後に出てくる

・ロシアから大富豪や成功者が続出している理由は、アカデミズムの基礎があるから

・学ぶ方法を身につければ、どんな分野にも応用が利く

・プーチン前大統領の記憶力の良さは外国人ジャーナリストの話題のタネ

・職業を道楽化することが幸せの秘訣

・文章を暗唱させることで、記憶力は飛躍的によくなる

・世界一の債務国アメリカを支えているのは日本の資金力

・日本は世界で最も好かれている国の一つ

・日本は世界にいる金持ちをターゲットに商売をしていくべき



※分析メモ

私は、今まで一つの大きな疑問があった。
それは「ロシアはなぜあんなに強い国なのか?」ということであった。
かつて、ソ連時代、多くの衛星国と社会主義国家をまとめて、強かった。
それは何となく理解できた。しかし、ソ連が崩壊、共産主義の理論も事実上、崩壊した。経済が破綻して、二度とこの国は立ち直れないと思った。だが、プーチンの政治力によって、資源開発をよみがえらせ、国家としてその存在感を強めている。倫理的な面は抜きにして、外交力もあるように思われる。経済力が落ちぶれたときも外交にも力があった。
これが今まで、なぜ力があったのが、疑問であったが、北野氏の本を読み、すーっと理解できた。
色々なことが理由であろうが、ロシアの教育、学問的な基礎がそれを支えていた大きな一つだなと、理解した次第である。
2009.2.15


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