◆スティーヴン・ウォルト『米国世界戦略の核心』を読み解く


※要旨


・ほとんどの国が優位な地位を手に入れればさらに多くのことが可能になるため、
もしアメリカがその地位を交換してくれるのだったら、喜んで交換してもらうに違いない。
しかし優位というものには危険がつきものであることを忘れてはならない。


・アメリカの目標がいかに崇高なものであったとしても、
世界の国々の視点から見れば、アメリカのポジションや行動は他国を警戒させ、
苛立たせ、時には怒らせるものなのだ。


・簡潔に言えば、ここで問題なのはアメリカの優位に対する世界の国々が、
感じる「感覚」と「反応」なのだ。
アメリカはもしかしたら本当に「世界の善なる力」なのかもしれないが、
アメリカ以外の国々は必ずしもそのような見方をしてはいないのである。


・イスラエルロビーの活動の強さの秘密は、
イスラエルが強烈に親イスラエル派の「アメリカ人」たちに、その活動を任せている点にある。
これによって、イスラエルへの政治的な支援活動は、
外国による「浸透」戦略の結果であるように見えず、
実際にもこれはアメリカの政治に特有の利益団体の伝統に完全に沿った合法的なものだ。


・インド政府の公式委員会は、以下のように記している。
「アメリカのインドコミュニティは、インドと世界でただ一つの超大国との関係を強化するため、
かけがえのない資産となっている」
インドは他の民族系ロビー団体が持つ影響力を熟知しており、
その手法から熱心に学ぼうとしているのは自然の成り行きとも言えるのだ。


・アメリカの経済、軍事、イデオロギー面でのパワーは、
世界中に与える影響力の源泉であり、安全保障という面でも最終的な担保となる。
アメリカの対外支援策が重んじられるのはまさにこの点なのであり、
敵がアメリカを恐れる理由もここにある。


・アメリカの大戦略が、
「現在の地位をできるだけ長く維持すること」にあることはハッキリしている。


・アメリカはアラビア語の放送局を増やし、
増加するインターネット好きなアラブの若者にアピールするために、
洗練されて魅力的なアラビア語のウェブサイトなどを開発しなければならない。


・アラビア語を流暢に話せる人々を訓練し増やすことも不可欠である。
このような努力を行うことでアラブ・イスラム世界のニュース機関と対等に渡り合うことができるのだ。


・幸運なことに、アメリカはこの種のソフト面での蓄積は豊富だ。
科学、外交、国際ビジネス面では英語が国際共通語になりつつあることに加え、
アメリカの大学システムも外国のエリート達に社交の場を与える強力なメカニズムとして機能している。


※コメント
アメリカの戦略を理解することは、難しいがこの世界でサバイバルするために必要なことだ。
それを理解する方法はさまざまある。
いろんな手法を試して、研究・分析していきたい。


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