◆ダンビサ・モヨ『すべての富を中国が独り占めする』を読み解く
(奥山真司氏・訳)


※要旨


・中国の資源獲得の動きには驚くべきものがある。
ここ10年ほどの間に世界中で行われている多くの資源関連の取引において、
中国はとるに足らない位置から、一気にポールポジションまで躍り出てきたのだ。


・新聞のデスクやメディアのコメンテーターたちが、グローバル規模でのエネルギーの需要が、
供給を超えつつある現状を踏まえ、耕地の減少や水をめぐっての衝突によって駆り立てられる紛争、
そして政治面でのハルマゲドンが発生するリスクといった、商品空間に対する危機が、
差し迫っていると警告するような文章を書いているのは、ある意味で当然だといえる。


・ところが「商品」とそれが取引されるマーケットの重要性をわかっていても、
グローバル経済に欠かせない要素であるこの「商品」そのものについてのわれわれの知識は、いまだに曖昧なままだ。


・世界の大国の中で、唯一中国だけが、経済・政治面における戦略を資源不足の将来に備えて行動している。


・本書は3つの大きなテーマを扱っている。

1.世界最大の資源の購入者としての中国の経済面での台頭が、グローバルな「商品」の需要と供給という文脈において、
いったいどのような意味を持つのかということを分析している。


2.中国が力をつけつつある金融面での影響力があり、
それがグローバルな「商品」マーケットの動きにどのような影響を与えるのかということだ。


3.中国の資源獲得への動きが及ぼす、社会・政治面での意味についてだ。
世界における中国の役割というのは、経済や金融のような狭いレンズだけで分析することはできない。
そのグローバルな規模での動きは、地政学的に深刻な影響を及ぼすだけではなく、
世界中の人々の生活や、彼らとその政府との関わり合いまでも決定するのだ。



・現在の中国は、外国の政府に資金を提供し、学校や病院に融資したり、
道路や鉄道のようなインフラの整備計画に投資して受け入れ国の求めに応じており、
これによって自国を、世界銀行のような国際機関よりも総合的に魅力的な投資国にしている。


・資源価格の設定への中国の関与や、マーケットの価格の変動に中国がどのような影響を
与えるのかについてつぶさに情報をみていくことは、決定的に重要である。


・中国が資源獲得の動きを分析するのはかなり骨の折れる作業だ。
中国側の購入者とさまざまな販売者の間で行われている多種多様な取引をそれぞれ照合しようとしても、
その組み合わせは無限に広がっているからだ。


・毎日何十億ドルもの価値の「商品」が、カトマンズからサンパウロ、ナイロビからムンバイまで広がる、
世界の57ヶ所の商品取引所で売買されている。


・商品市場では、穀物、肉、そしてその他の「ソフト商品」である砂糖、トウモロコシ、綿、
ココア、そしてコーヒーを含む農産物が取引されている。
ほかにもエネルギー(石油、石油製品、天然ガス、それに電力)や、
鉱石や金属のような「ハード商品」、そしてウランや排出権のような珍しいタイプの商品が、
取引される場となっている。


・本書の筆者であるダンビサ・モヨは1969年、ザンビアに生まれた。
1990年、自国のクーデター未遂事件で通っていた大学が閉鎖されたため、
しかたなくアメリカに渡り、奨学金を得てワシントンのアメリカン大学で化学の学士を取った。
同大学でMBAをとってからハーバード大学のケネディ行政学院で修士号を取得、
そしてイギリスのオックスフォード大学で経済学の博士号を修めた。
世界銀行のアドバイザーやゴールドマンサックス、その他企業の重役を経験。
彼女は自身のライフワークを「アフリカで直面している問題に持続可能な解決策を提供することだ」と述べている。


※コメント
商品市場の経験が長いモヨの中国分析は、ユニークだ。
単なる中国のアフリカ投資批判ではなく、アフリカのためには何がいいかを語っている。
世界的な視野が必要であることをあらためて、教えてくれる稀有な一冊である。


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