◆堀坂浩太郎『ブラジル:跳躍の軌跡』を読み解く


※要旨


・21世紀の新生ブラジルを理解する上で、どうしても押さえておかなければならないのは、
1964年に勃発した軍事クーデターを起点とし、1985年の民政移管まで21年間に及んだ、
軍事政権の存在である。


・軍部が政治の表舞台に登場することは、ブラジルの歴史では決して珍しいことではなかった。


・軍政に正当性を与える重要な要素が経済であった。
軍政前夜のブラジル経済は深刻なスタグフレーション(不況とインフレの併存)と
国際収支の悪化に見舞われていた。


・植民地時代以来長い間、ブラジル社会は農村社会を基本としていた。
リオネジャネイロやサンパウロといった大都市の発展はみられたものの、
モノカルチュアの輸出経済を支えたのは農村部であった。


・現在のブラジルを理解する場合、立ち位置を決める座標軸の重要な基底として、
軍政時代があることが分かる。


・新しい制度設計を進めたブラジルは、国内の活力を高めながら世界の表舞台へ飛躍をはじめた。
その強みは、豊富な資源をバックとする輸出と消費パワーに裏打ちされた内需の2つのエンジン。


・21世紀のブラジルは、資源大国として脚光を浴びている。
しかし実は、その歴史の最初からブラジルは資源国であった。
赤い染料を採る木材パウ・ブラジルに始まり、砂糖・金・ダイヤモンド、綿花やゴム、
そしてコーヒーと、世界の主たる供給地として発展の道をたどってきた。


・ブラジルの開発の歴史は、デスマタメントの歴史、すなわち森林伐採の歴史でもあった。


・ブラジルは世界有数の牧畜国である。
このため革靴の素材となる皮革は豊富で、この面では比較優位にある産業だ。


・ブラジル企業には海外進出に独特の勘と戦略を持つ企業家が少なくない。
世界の表舞台に立つとき、多人種・多民族の環境で育まれてきた人的資源が、
強みとして発揮されるのではないだろうか。


・ブラジルの後ろに控えるヒンターランド(後背地)との関係に目を向けることも忘れてはならない。
メルコスールをはじめ隣接の南米諸国はもちろんである。


・日本とブラジルの農業協力でサバンナを肥沃な穀倉地帯に変えた中西部セラード開発の経験を、
アフリカのポルトガル語圏モザンビークで三国間農業協力として活かそうとする試みや、
日本とブラジルがそれぞれの技術を結合し「日本・ブラジル方式」として、
南米一体に広げた地上波デジタルテレビの技術などは、ヒンターランドに目を向けた協働の好例である。


※コメント
ブラジルは広い。そしてたくさんの人々がいる。
だからこそ、ステレオタイプに、「ブラジルは○○である」と簡単には言えない。
自分の目で見ること、そして膨大な情報を精査しながら想像力を高めることが同時に必要だ。


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