◆落合浩太郎『CIA、失敗の研究』を読み解く


※要旨


・アメリカ大統領は日曜を除く毎朝、「大統領報告日報」(プレジデンシャル・デイリー・ブリーフ)
をCIAから受け取る。
ルーズリーフ型ノートで、10前後の項目、20ページ程度。


・「友好的な諜報機関は存在しない。
あるのは友好国の諜報機関だけだ」
というのが世界の常識である。


・CIAの支局の規模は、アフリカなどの小国の「ワンマン・オフィス」から、
東京やローマのような数十人とも100人ともいわれる大きなものまで様々だ。


・CIA東京支局では、軍人を中心に、外交官、民間人に偽装して、
冷戦時には100人、現在は50〜60人らしい。
東京支局長はアメリカ大使館の参事官(大使、公使に次ぐポスト)の1人とされる。


・CIAのアナリスト(分析官)は作戦本部や他の諜報機関が収集した情報だけに依存しているのではない。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍などの公開情報に基づく諜報が90%を占めている。


・国防総省傘下の国防情報局(DIA)の主な任務は、
戦争遂行などに必要な軍事関連の戦術情報の収集と分析である。
そのために、各国の大使館にも武官が駐在している。
DIAの人員は約7000人。


・1997年、DIAのアナリストが一本の論文を書いた。
「来るべき諜報の失敗」と題して、
「マネジメントが情報収集や分析よりも評価されている。
そして、優れたアナリストはどんどん減っている。
諜報機関は現状維持思考の人々ばかりになっている」
とする内容は、4年後の現実を予見しているかのようだ。


・諜報機関の縄張り争いは、アメリカの限らずどの国でも激しい。
ソ連でもCIAの宿敵KGBと軍の諜報機関であるGRU(参謀本部情報管理本部)が犬猿の仲で有名だった。


・スパイ小説の大家フレデリック・フォーサスによると、
英国でも国内担当の防諜機関のMI5は、海外担当機関、通称MI6(正式にはSIS)を
陰では「ツァー」(ロシアの皇帝、独裁者)と呼んでいた。
両者がテムズ川を挟んでいるため「川向こうのくそったれ」なのだ。


・アルカイダのようなテロリスト・グループには決定的な「深い情報」は期待できず、
「幅広い情報」を収集するしかないと指摘したのは、外務省元国際情報課長の北岡元氏である。


・ロシアもアルカイダとタリバンに関する包括的な報告書を、
2001年3月に国連に提出していた。
そこには、アフガニスタンにあるアルカイダの55ヶ所の基地や事務所、
ビンラディンやタリバンと関係するパキスタン政府高官31名についての情報が含まれていた。


・ロシア(ソ連)は1979年にアフガニスタンを侵攻し、10年間占領していたため、
タリバンやビンラディンに関する情報を豊富に持つ。
アフガニスタンから撤退した後も、この地域での諜報活動を続け、アフガニスタン政府の協力者、
現地語のできるエージェント、複雑な情勢に通じたアナリストを確保していた。


・CIAに批判的なOBは同時テロ前に今日を見通していた。
「CIAは今後も失敗を続けるであろう。
有能で、賢明で、国際経験が豊富な、大統領にもへつらわない長官が登場するまでは」。


・ホワイトハウスでテロ対策に従事してきた『聖なるテロの時代』の著者たちは、
大統領といえどもリーダーシップを発揮して、
官僚機構を動かすのは容易ではないことを認めている。


※コメント
危機が起こったときに、後からはいろいろ言えるものだ。
そうではなく、危機に関する頭の体操をして、いろいろ備えることで応用がきく。
そして冷静に対処しよう。


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