◆藤原正彦『天才の栄光と挫折、数学者列伝』を読み解く


※要旨


・数学者アラン・チューリングがとりかかったのは、
ナチスドイツが「絶対に解読不可能」と豪語していたエニグマ暗号だった。


・1939年に戦争が勃発するや、
アランをはじめとする一群の数学者がケンブリッジとオックスフォードから集められた。
再編されたばかりの政府暗号学校(ブレッチリー・パーク)で働くためである。
この奇妙な名称は世の注目をはぐらかすためで、仕事の内容は暗号解読であった。


・現在の解読機関はチェルトナムという町にあるが、「政府通信本部」という名称だ。


・英国には16世紀頃からほとんど常に情報局があり暗号解読など諜報活動で成果を挙げてきた。
解読者の多くは古典語学者や外国語に詳しい者、そしてなぜか神父などだった。
ところが、それまですばらしい成果を誇ってきた彼らが、
1936年にエニグマが導入されて以来、まったくドイツの暗号に歯が立たなくなってしまった。


・敵の情報を得られないまま戦争に入ってしまう、
などというのは世界の暗号大国イギリスにとって経験のないことだった。


・英国は戦場とならなかったが、多数の輸送船をUボートに沈められ、
食糧と石油の半分を輸入にたよる島国は苦悶の中にあった。


・数学者は奮闘した。
自分たちの解読が一日遅れるとそれだけ尊い人命が海で失われ、国民は飢餓に苦しむことになる。
一日でも早く解読しようと、3交代制で24時間働き続けた。


・暗号解読におけるアラン・チューリングの才能はずば抜けたものだった。
ブレッチリー・パークの司令塔のごとく、かれの卓抜なアイデアが全体をリードした。
チューリングが一国を救い、世界史を変えたと言ってよいほどのものだった。


・1939年、チェンバレン首相が対独宣戦布告をした翌日、
アランはブレッチリー・パークに召集されたのである。
断ることもできたが、パブリック・スクールというエリート養成学校で、
ノブレス・オブリージェ(高い地位にある者に伴う義務)を鼓吹されたアランにとって、
国家への献身は当然のことだった。


・高い地位にある者こそが一朝こそあらばまっさきに駆けつけ、
必要なら進んで国家に生命を捧げる、というのがノブレス・オブリージュの中核なのである。


・両世界大戦を通して、パブリックスクールやオクスブリッジ出身者の死傷率は著しく高かった。
彼らは率先して最も危険な前線を志願したのである。


※コメント
数学者はふだんあまり表に出てこない。
そのため、藤原氏の数学者話は面白い。
数学は、我々の生活、経済に密接につながっている。



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