◆樋渡啓祐『沸騰!図書館。100万人が訪れた驚きのハコモノ』を読み解く


樋渡氏は、佐賀県武雄市長。
総務省出身。
異色の政策と行動で佐賀を賑わしている。


※要旨


・2012年1月23日、日帰り出張で僕は代官山蔦谷書店に行った。
雨予報の中、どうも見た顔が路上にいた。
僕がどうしても会いたかった増田社長だ。
彼はTSUTAYAを運営する会社、CCCの社長だ。
代官山蔦谷書店を慈しむように眺めていた。


・アポは入れていないが、これは千載一隅の好機、挨拶するしかない。
と言っても、単に名刺を渡して長々と説明するのはマイナス2万点、僕の趣味じゃない。
僕がいつも心がけているのは、名刺を渡す前の5秒が勝負。
できるだけ簡潔に、強い意志を伝えられるかどうか。


・そこ意を決して、このときは、こんな挨拶をした。
「武雄市長の樋渡です。私どもの図書館をぜひ増田社長にお願いしたいと思っています」

すると増田社長、開口一番、
「承りました」

まさか、すぐ即答してもらえるとは考えてもいなかった。
恥ずかしい話だが、声が裏返って、
「何で承るんですか?」
と聞き返した。


・いま思えば日本語としておかしいし、第一失礼だ。
増田社長は僕の声の裏返りなど気にせず、丁寧にこう答えてくれた。

「私はこれからの地方サービスというのは、病院と図書館だと思っています。
だから図書館は前々からぜひやりたいと思っていて、そこにあなたが来た。
行政と仕事をするのは初めてで、正直、不安もありますが、ぜひやらせてください」
これがすべての起点となった。


・リニューアル前の図書館に増田社長を案内している時、彼は、
「徹底して顧客なんです。顧客価値をどうするか、なんですよ」
と強調していた。
このひとは経営者としても超一流だけど、イノベーターとしても超一流、
話を聞けば聞くほどそう思った。
それを支える高橋さんも一流の仕事人。


・マスコミ対応について、総務省時代から、何を言われても受け流すのがお約束と教わってきた。
お約束というより、鉄則、血の掟と言っていい。
僕も市長になってしばらくの間はこの掟を固く守っていたが、その後、反撃に転じるようになる。


・スターバックスにこだわる。
コーヒーの味よりも僕が感心したのは、スターバックスの持つ空間構成能力だ。
長居しても、ゆったりできる空間作り。
これはスターバックスにだけ与えられた力だ。


・CCCとの打合せで、
「中に入ってもらうカフェはスターバックスにお願いしたい。
新図書館の雰囲気には、スターバックスの空間が一番合っています。
なんとしても、スターバックスでお願いしたい」
と述べた。


・あとで聞いたら、5万人規模の都市に出店するのは前例なし。
まして、図書館内に出店するのも前例なし。
話を持っていったCCCも、受けるスターバックスも、かなり逡巡するものがあった、と聞く。
しかし、最後は出店を決めてくれた。


・そもそも、日本人はそれほど主張しない民族だ。
まして、僕が以前、属していたキャリア官僚の間では、
「マスコミの批判記事には何も言わない」
という不文律が徹底している。
病院問題で痛い目に遭い続けた僕は、霞ヶ関時代の不文律をあえて破り、徹底的に反論するようになった。


・トップと交渉するときには、トップだけではなく、懐刀・参謀格の人、
現場の人、それぞれときちんとコミュニケーションを取らなければならない。
総務省の官僚時代、地方の首長がたくさん陳情に来た。
かれらは最低でも課長クラスに会おうとしていた。
うまくいかないと僕ら下っ端官僚を怒鳴りちらしもしていた。
僕ら下っ端からすれば、怒鳴られて脅されて面白いわけがない。


・しかし、沖縄のある村長だけは違った。
課長、部長などには会おうともせず、僕ら下っ端のところに無駄話したり、
お土産を置いて帰ることばかりしていた。
最初は変なオッサン扱いだが、段々と仲良くなり、
しまいには「この村長のところの村、どうにかしなきゃ」となる。
他の官僚たちも、怒鳴る首長のところは予算を減らし、この村長のところは予算をつけるようになった。


・今だから言えるが、この村長は霞ヶ関での権力構造、
つまり部課長クラスよりも現場の係長と下っ端官僚こそが権限をもっていることをよく知っていたのだ。


・新しい武雄市図書館は、
「各メディアで話題沸騰中!」
となった。
観光客やビジネス客が増えたことで武雄の経済は好影響を受けている。
それも利用者がごく少数だった図書館が観光拠点に変貌したからだ。


・単なる公立図書館が観光施設にもなって、
武雄経済に好影響を与えるなど、さすがの僕も想定できなかった。


※コメント
武雄市の取り組みは面白い。
だが、これらを実施するためには多くの批判、多くの壁を乗り越えないといけなかったようだ。
ただこうやれば面白いと思いついても、それを形することを100倍たいへんなようだ。
勉強になる。


★樋渡啓祐『沸騰!図書館。100万人が訪れた驚きのハコモノ』の詳細、amazon購入はこちら↓

http://amzn.to/1l5UVx3


◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご紹介。
ご登録はこちらです↓

http://www.mag2.com/m/0000258752.html

世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。これを読めば貴方も一流のスパイになれるかもしれません。