◆佐野眞一『小泉純一郎:血脈の王朝』を読み解く


※要旨


・飯島勲はこういっていたそうだ。
小泉が橋本龍太郎に敗れた第一回目の総裁選立候補のときから長期的に考え、
マンガ雑誌、スポーツ紙、週刊誌、婦人誌、テレビなどの取材に優先的に応じるようにした。
なぜなら今の有権者は、スポーツ紙で政治を知り、
ワイドショーでそれを確認しているからだ。


・しかし、これは飯島が最初から企んだメディア戦略というよりは、
窮余の一策から生まれた側面をもっていた。


・そもそも小泉純一郎は党内や派内に基盤らしい基盤をほとんどもっていない。
こうした状況を反映して、小泉は全国紙の政治部記者との付き合いも極端に少ない。
というより、全国紙に代表される大メディアは小泉を変人扱いこそすれ、
まともに扱うことは全くといっていいほどなかった。


・飯島はこの状況を打破するため、まず一匹狼のフリーライターと積極的に接触した。
そして彼らを通じてスポーツ紙や夕刊紙記者、週刊誌記者と人脈を築き、
メディアの間口を広げていった。


・官僚組織からの情報収集も同様だった。
飯島は日の当たらないノンキャリアからの情報吸い上げに腐心した。
これも策を弄したというより、キャリアからの情報収集ルートに乏しかった飯島が、
苦労してつくりあげた細いパイプだった。


・政治部記者の飯島評価もすこぶる高い。
「永田町情報をつかむのがとにかく早い。
総裁選挙でも、対立陣営の出陣式に集まったメンバーのリストをあっという間に入手した。
小泉陣営の選挙責任者が『向こうはどれくらい集まったんだろう』
なんて話をしている段階で、もう対立陣営の支援者ひとりひとりの個人名まであげて、
答えられたと聞いている」


・下から積み上げる人脈づくりにも現れているように、政策を進言したり、
勢力拡大のための多数派工作を仕掛けるのは、飯島の任ではない。
メディアを使って外堀を知らず知らずのうちに埋めていき、
気がついたときにはもう後戻りできない流れをつくる。
こうした情報操作の分野においてこそ、飯島の本領が発揮される。


・小泉の並外れた秘密主義は、この取材で何度も歩いた横須賀の地勢を連想された。
古くから軍港と知られ、小泉が幼少期を過ごした横須賀は、
海に迫って坂道が多く、守るに易く、攻めるに困難な、
難攻不落といってもよい天然の要害である。


・「入れ墨大臣」という異名をとった小泉又次郎の遊興を好む血は、
孫の小泉純一郎にも濃厚に受け継がれている。
小泉は若い頃、ある記者から、
「おじいさんから政治の薫陶は受けましたか」
と尋ねられ、
「いや、花札しか教わらなかった」
と答えている。
「ほかには」
と問われると、平然として、
「歌舞音曲だ」
と言った。
歌舞音曲好きの血は、小泉家全員に流れているという。


・上三人が女性という環境で育ったせいなのか、
小泉が女性に優しく、よくもてたことは、小泉の中高時代の同級生も認めている。
「とくに玄人筋の女性にもてるんだね。
彼が自己紹介で『純潔の純、一発の一、女郎の郎で純一郎です』
とよくいっていたのを憶えているな」


・政治とは、ある種「雑事」の集積である。
それにぶつかり、問題をさばいていくところに、政治家としての成長がある。


・橋本龍太郎、麻生太郎がライバルとして立候補した三度目の自民党総裁選に出馬したとき、
小泉の念頭にあったのは、
「いかに勝つか」
ではなく、
憧れの赤穂四十七士を見習って、
「いかに散るか」
だっとという。




※コメント
さまざまな小泉さん評伝はあるが、
佐野氏の評伝は異色だ。
まだまだ世の中にはたくさん知らないことがあるようだ。


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