◆山口昌子『フランスよ、どこへ行く』を読み解く


※要旨


・ドゴール将軍は第二次世界大戦中、議員や高級官僚が国益を忘れ、
対独協力に走った事実を憂慮して、国益を最優先とする本来の官僚のあり方を
徹底的に叩き込むために高級官僚の養成所、国立行政学院(ENA)を創設した。


フランスのエリートの中にもこの創立の趣旨を忘れ、
ENA出身の肩書きを出世の道具にして者がおり、確かに嘆きの種になっている。


・国家の威信が冒された時は、かくのごとく激怒すべし。
そのようなことを教えてくれる出来事が、フランスのサッカー決勝戦であった。
試合に先立つ国歌ラ・マルセイエーズの演奏中、
少数派による独立問題があるバスチアのサポーターが口笛を吹いたのに対し、
主賓席にいた当時のシラク仏大統領が、「フランスが侮辱された」と激怒して退場した。


テレビは、当時のラファン首相やサルコジ内相が呆然と見守る中、
シラクが大またで歩き去る姿を克明に放送した。

大統領は奥の部屋で、
「フランス共和国の基本的価値に抵触するようなことは許されないし、受け入れがたい」
と述べて退場理由を説明した。

このときは穏やかな表情を取り戻していたが、国家元首らしい威厳に満ちていた。



・フランスの場合、国家元首である大統領は、
日本や英国なら、天皇陛下と国王が、
首相と分担する役割を兼任してこなすことになるから多忙だ。


フランス大統領は親書に限らず、
手紙の冒頭の相手の名前と署名は必ず自筆で書くと伝えられる。
これは「国家元首」としての責務であると同時に、
多分に礼儀や教養を重視する古い欧州の習慣もあるだろう。

アメリカのラムズフェルド国防長官(当時)が
戦死者の遺族への手紙に自筆で署名せず、
印字を使用したことは、
フランスの場合なら「あり得ない」(仏大統領府筋)ことである、とのこと。


・フランスの日本人駐在員の間では
「胃と肝臓が丈夫でなければ駐在員はつとまらない」
といわれるほど、会食はビジネスの一部と化している重要行事だ。

正式な夕食会は短くて3時間。
国家首脳を招待しての夕食会なら予定時間を越すのが礼儀だ。
話が弾んだ証拠、つまり成功した夕食会ということになるからだ。


・フランスでも古典が読まれない傾向にある。
まして、学生にとって学校で習うことは退屈なものとの認識が先にたつ。



・フランス外人部隊の創設は、1831年。
時のフランス国王、ルイ・フィリップは北アフリカに野心を示していたが、
前年の七月革命などの国情は不安定で正規軍の派遣は難しかった。


知恵者の部下が
「パリの街にあふれている欧州各国からの失業者を集めて軍隊を結成したらどうか」
と、いかにもフランス的合理主義に基づく妙案を提示。
かくて国籍を問わないという匿名性が特徴の異例の軍隊が誕生した。


いまや、フランス陸軍(13万7000人)の中の正規部隊であり、総数・約7600人。
出身国は約130カ国にわたり、フランス軍の中でも最も危険な最前線に派遣されている。


・今も、フランスは謎だらけだ。
しかし、王制、流血革命による共和制の誕生、帝政、王制復古などの末に落ち着いた共和制は今、第5次を迎えている。
フランスの謎を解く重要な鍵は、「共和制にある」というのが、私の目下の結論である。



※コメント
ファッション、グルメ、芸術といろいろな見所のあるフランス。
そこには、強い国家意識というものが感じられる。
気高きフランスの人々との交流は、日本と違った側面をもっているのため面白い。
同時に、フランスを通して、日本のよいところを発見できる楽しさもある。


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