◆倉前盛通『新・悪の論理:地政学、日本のゲオポリティク』を読み解く


※要旨


・アフガニスタンは遊牧民の社会であり、多民族国家である。
タジク民族、あるいはパターン族、その他キルギス、ウズベク、イラン系民族、
あるいはモンゴル系など多数の民族が集まっている。
そのうちの主流をなすものは、タジクとパターンであるといわれている。


・旧ソ連はハートランドかを支配する国として「ハートランドからアフリカへ」という永年の夢を持っていた。
マッキンダーは「ハートランドを制するものは、世界島を制す」といった。


・かつてホワイトハウスの高官たちはカーター大統領に対して、
イランには決して手を出してはいけませんと繰り返し、説得したと伝えられる。
イランを最終的に放棄しても差し支えないという決定がどこから出てきたかといえば、
実はこれこそドイツ地政学の大家ハウスホーファーの「統合地域論」からきたものである。


・ケニアを制するものはブラックアフリカを制する。


・マダカスカルを制するものはインド洋を制する。


・バンコク平野を制するものは東南アジアを制す。


・かつて、アメリカの地政学者スパイクマンが
「南シナ海を制圧するものはインドネシア、オーストラリアに影響力を及ぼす」ということを述べている。


・かつてイギリスがシンガポール、香港を領有し、南シナ海の制海権を握っていたとき、
インドネシア、オーストラリアは完全にイギリスの勢力下にあった。
日本がシンガポール、香港を占領し南シナ海の制海権を手に入れた瞬間、
たちまちインドネシアは日本の支配下に入り、
オーストラリアもあと少しで日本の占拠するところまでいった。


・ソロモン群島を制するものは南太平洋を制す。
サイパンを制するものは西太平洋を制す。


・かつて、ガタルカナルの攻防に日本もアメリカも多数の艦隊を繰り出し、
無数の飛行機を飛ばし、陸上兵力を送り込んで、陸海空三つ巴で壮絶な激戦を展開した。


・ガタルカナルは、ソロモン群島の中でいちばん飛行機を建設するには適したところであり、
また艦隊の停泊地として適当なところであった。
ゆえにここに建設した飛行場を基地として、
南太平洋を制圧する作戦を展開することが可能であった。


・マッキンダーが「ハートランドを制するものは世界を制す」と主張し、
続いてスパイクマンが
「ハートランドはもはや近代的な力の場となり得ない。
ジンギスカンのような遊牧騎馬民族の時代ならばともかく、
近代工業社会においては強力な力の場となり得ない」


・「情報とエネルギーと食糧を制するものは、世界を制す」という
ゲオポリティクのテーゼの中の情報とエネルギーに旧ソ連は気づいた。
食糧は革命当初からソ連の最大の弱点であった。


・「リムランドの東端の日本と、西端のイギリスは戦略上きわめて重要な地点である」と述べたスパイクマンの言葉をかりて言えば、
「世界の湿極日本と世界の乾極アラビアは世界戦略上きわめて大切なところである」というテーゼが成り立つ。


・日本と西端の西欧は、紋章を発達させる何らかの社会条件を熟成させた。
これはモンゴル、サラセン、オスマントルコの支配を受けなかった地域である。


・紋章を発達させた社会が、まず工業化と現代化に成功した。
これは紋章の使用によって、その社会がシンボル操作能力を高め、
部族社会や大氏族社会の束縛からいち早く解放されていたからである。


・イギリスの海軍は商船護衛、通商護衛をもっとも大切にするが、
ドイツは本来、大陸国家であるから海上における通商護衛という発想が少なく、
軍事力による決戦のみを考える傾向が強かった。


・日本の商社活動そのものが、実は情報活動である。
日本の商社の情報網はアメリカのCIA以上であると
かつての外国の誰かがいったことがある。



※コメント
地政学の情報を集めれば集めるほど、その内容は深く濃い。
大国のエリート層をこれらをきっちり学び、国際政治に活用している。
これはほとんど表に出てこないことだ。
日本の指導者層がどれだけ地政学を理解しているのか、この分野の学習を促したい。



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★主な内容。



・「大戦略」としての「地政学」 「世界観」と「悪の論理」=リアリズムとは。


・「ランドパワー」「シーパワー」「ハートランド」「リムランド」について。


・日本が「真の独立」を達成するために最も必要なこととは何か