◆中野剛志『反・自由貿易論』を読み解く




※要旨


・日米繊維交渉と沖縄返還。


・1969年から71年までに行われた
「日米繊維交渉」とは何か。


・日本の国益という問題に対し、
当時の政治家が「何を守ろうとしたか」、
そして「どう立ち振る舞ったか」を
この交渉から考えることができる。


・かつて繊維産業は今より貿易量が多く、
両国の経済を支える重要な産業だった。


・1968年の大統領選において、
ニクソン候補は、アメリカ南部の支持を求めて、
南部の重要産業だった「繊維業界の保護」を公約し、
選挙に勝利。
大統領就任直後には、その実行を明言した。


・ニクソン政権は、日本に綿製品の輸出自主規制を求めるなど
強硬策をとり、日米間の繊維を巡る貿易摩擦が過熱した。


・同時期、日米間では「沖縄返還交渉」が進展していた。
ニクソン大統領は、当時の佐藤栄作首相に対して、
「繊維問題での日本の譲歩」と「沖縄返還」を取引することを示唆した。
佐藤首相は、沖縄返還という悲願を実現すべくこの取引に応じた。


・そこで佐藤首相は、沖縄返還を実現するために、
大平、宮澤、田中角栄といった自民党のエース級を
次々に通商産業大臣に投入して、
日米繊維問題の解決にあたった。


・田中通産大臣は大幅に譲歩し、
アメリカ側の提案を全面的に受け入れて交渉を決着させた。
国内では繊維業界が激しく抵抗し、
大蔵省の反対を押し切って巨額の繊維業界共済措置を
講じることで事態を収拾した。


・いずれにせよ、沖縄返還と繊維交渉の決着には、
佐藤の決断に加え、大平、宮澤、田中の3通産大臣の奮闘、
自民党内や繊維業界内の粘り強り調整があった。


・なかでも、国内の政治や業界をまとめる際に
発揮された田中角栄の政治力には目を見張るものがある。


・田中角栄に見る根回しや調整について。


・日米繊維交渉で注目すべきは、
当時の政治家や官僚が熱心に根回しや調整を行ったことだ。



・国内の関連産業には大きな負担を強いなければならず、
密約のために沖縄返還という大義を明かすことができない、
という苦しい立場で、それでもアメリカの要望を飲まなければならない。
そういったギリギリの交渉では、
特に根回しや調整がものを言う。


・田中角栄通産大臣は、
密約を交わしてしまった総理、
利己的な要求を突き付けてくるアメリカ政府、
その要求に猛反対する繊維業界や通産省、
巨額の救済融資に反対する大蔵省など、
利害や思惑の異なる様々な人々の間をうまく立ち回り、
繊維交渉を終結させた。


・根回しや調整は、
最近では「古い政治」「悪しき因習」「政治屋の仕事」などという
ステレオタイプがつきまとうが、
それは国益の犠牲となる人々への、
配慮でもあり贖罪でもある。


・特に貿易自由化など、
国家や国民にとって影響の大きい政策の実行は、
とくに慎重な手順を踏み、
時間をかけて漸進的に行われてきた。


・政府や与党(自民党)は、
各種業界団体と精力的に調整を行い、
表裏のあらゆるルートを駆使して、
根回しを重ねた。



・政治家は発言の内容やタイミングにも気を使い、
妥協の道を探った。




※コメント
異色の官僚出身者である中野氏の
考え方は興味深い。
さまざまな考えから学びたい。



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政治評論家・国際政治アナリスト


1971年神奈川県生まれ。

1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、旧通商産業省に入省。

2000年より、スコットランドのエディンバラ大学大学院に留学し、
政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、2005年には博士号を取得した。

山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』、
『TPP亡国論』、『富国と強兵-地政経済学序説-』、
『真説・企業論』等著書多数。専門は政治経済思想。元京都大学大学院准教授。
「異能の官僚」の異名を持つ。






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