◆フィリップ・リエス『カルロス・ゴーン:経営を語る』を読み解く


※要旨


・ルノーから日産にやってきたコストカッター、カルロス・ゴーンは、
当初まだ若く、数ヶ国語に通じ、レバノン系でブラジル生まれ、
フランス式の教育を受け、欧州や北米、南米の各地で目覚しい活躍をしてきたという人物だった。


・もちろんビジネス上の伝説には事欠かない。
例えば、世界第一のタイヤメーカー、ミシュランに18年間籍を置き、
そこでスピード出世の記録を打ち立てた。
96年には北米ミシュランの最高経営責任者として全社売上の4割を占める大市場を掌握、
その実績から、ルイ・シュヴァイツァーに乞われてルノーに移った。


・フランスの教育システムは、競争と選抜と「知性の価値を重んじる」の発想に基づく。
チームワークやコミュニケーションはまったく軽視されていた。


・同期入社は社内ネットワーク作りの基礎。
ミシュランは、将来の幹部候補生が一日でも早く会社の一員になるように、
非常に効果的で、独特のシステムを採用していた。
インストラクターの指導のもとに、幹部候補生は3ヶ月間の研修を受け、寝食をともにする。
そして、この間に、生産、営業、販売、財務、海外業務などさまざまな分野に関して、
その部門を率いるトップの人々から講義を受ける。


・ミシュランの工場長時代、ゴーンは指導者として大切なことをたくさん学んだ。
「自分がまだ若い場合、赴任して最初にすべきことは人間関係を作り上げること。
部下の管理職の人たちと一緒に過ごすことによって、自分のことをわかってもらい、
交流を深め、その管理職たちが直面している問題と、それをどうやって解決しようとしているか、
そのやり方を知る必要がある。
そこでいちばん大切なのは『チームを作る』こと」


・多国籍企業の発展には、現代的な財務管理がそれ以前にもまして重要になる。
その発想とは、すなわち、「財務担当者」とは、そろばん勘定する人ではなく、
事業や資本市場への投資、銀行からの借り入れを常に最適化することを考える人のことだ。


・ミシュランは、同族企業で、長期目標に基づいた経営を行い、
何よりもまず製品とその品質、設備投資や企業戦略についてじっくりと考える会社だ。


・ルノーで「200億フラン削減計画」を実行に移すとき、
ゴーンはミシュランでのブラジルと北米で成功したやり方をルノーに持ち込んだ。
チームを作り、部門間の壁を崩し、数値目標を掲げ、日程を組み、それを遵守するというやり方である。


・「まず始めたのはごく単純なこと。
チームができあがると、私たちは毎月全員が集まり、すべての問題を一緒に検討した。
そうやってチーム精神を育てていきながら、削減計画について語り合った」


・数字の裏にあるものを見つけたい。
「私は日産の状況を数字で把握していたのか?
答えは、ノーだ。
もちろん、会計調査などのさまざまな報告書を見ることで、
数字的に日産がどのような状況にあるかは知っていた。
しかし、現実とは切り離されていた、資料だけで読んだ数字を、私は重視するということはなかった。
私はそういった数字の裏に隠されているものを、内側から発見したかった」


・日産が業績不振に陥った最大の原因のひとつが、「ビジョンがないこと、戦略のなさ」だった。
たとえば、「日産を5年後にどうしたいのか?」
「10年後にどうしたいのか?」
社員に尋ねてみても、答えは返ってこなかった。
「日産というブランドは何を意味しているのか?」と訊いても同じだった。
つまり、日産の人々にはビジョンというものが欠けていた。


・1999年、ゴーンは、日産リバイバル・プランを発表した。
自社の業績不振を発表する際、日本の企業で決まって繰り返させる陳謝の言葉や涙はない。
ただ淡々と数字を説明し、再建策を述べていくだけである。
それだけに、そのスタイルは信頼感を抱かせるものであった。
また日産の新しい経営陣の断固たる決意がひしひしと伝わってくるものであった。


・「日産リバイバル・プラン」を策定するとき、ゴーンが一番時間をかけて力を注いだのは、
現場に足を運んで社員の声を聞くことだった。
企業とは物ではない。
数字の総計でもない。
バランスシートを見ただけでは、社員の思っていることはわかりはしない。


・「現場に出かけていって、直接話をすることはとっても重要です。
そうすれば、社員達が自分たちの置かれた状況をどう捉えているのかわかる。
またそれを通して、状況そのものもはっきり見えてくる。
現状把握は経営の要」


・「全体の状況を把握し、対策の規模、期間、効果を見極めること、これが基本中の基本である」


・フットワークの軽さ。
ゴーンは社長室に閉じこもってしまうわけではない。
そのフットワークの軽さから、日々、現場を飛び回っている。
社長室で財務指標や受注動向に目を配っているだけでは、経営はできない。
経営とは「実践」であって「学問」ではないのだ。


※コメント
現場を回りながら、あらゆるデータと情報、知識を蓄えながら、決断する。
これこそ、理想の形だ。
たとえ社長じゃなくても、個人の仕事にもいかせる。


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