『国際インテリジェンス最新事情』

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◆戦略

◆エリノア・スローン『現代の軍事戦略入門:陸海空からサイバー、核、宇宙』を読み解く



◆エリノア・スローン『現代の軍事戦略入門:陸海空からサイバー、核、宇宙』を読み解く
(翻訳:奥山真司・関根大助)




※要旨


・冷戦後の時代では、何かしらの紛争、もしくは戦争が、
国際システムのレベルでほぼ途切れることなく続いていた。
国家にとって戦争の遂行があいかわらず最も重要な行為の一つで
あることを意味している。


・戦争の遂行に関する戦略思想は、
現代の国家安全保障政策における軍事力の役割や、
それが果たす貢献の部分に光を当てることによって、
我々が危機に直面したり、それを管理しようとする際の助けとなる。


・現代のシーパワーの理論によれば、
シーパワーが戦略的な効果を達成するためには、
地上部隊と協力すべきであるという。


・シーパワーは、沿岸域での国家間紛争の流れに影響を与えるため、
そして外洋では海上交通線が自由に開かれた状態を維持するための、
シーコントロールの度合いを高める目的で使用されるべきである。


・本書の内容を簡潔に言えば、
「冷戦後の軍事戦略理論の変遷の概略説明」である。
本書はそのような理論についての議論の流れを、
ここ20年ほどの経緯とともに丹念に追ってまとめたものだ。


・本書の第一の特徴は、各分野の軍事戦略の歴史や近況、
そしてその代表的な理論家や理論そのものの背景を、
極めてコンパクトな形にまとめて分析している点にある。


・とりわけ古代から理論が存在するランドパワーは、
孫子からクラウゼヴィッツ、そして冷戦後の現代に至るまで、
扱っている範囲は極めて広い。
しかし、そのエッセンスを30ページほどの分量にまとめている。


・第二の特徴は、冷戦後の20年間の戦略思想に与えた、
アメリカを中心としたテクノロジーの発展のインパクトの
大きさが理解できるという点だ。


・戦略理論やそれに関する議論の多くは、
古典が基盤となっている。
「万物は流転する」と言うが、
同時にどんな長大な時間を経ても変化しない物事の
本質というものが存在し、
戦略の分野でそれを理解するには、
歴史や古典から多くを学ばなければならない。


・そういった歴史や古典と、現代における複雑な事象を関連付け、
「温故知新」の精神に則った不変の英知を証明するためには、
広い知識と労力が必要である。


・ところが現代の多くの人間、特に実務家たちは、
当然のことながら現在進行形の具体的な事象や近い将来の問題に目を向け、
抽象的な理論や歴史的な広い視野による研究を注視しない傾向にある。


・戦略理論の研究は不可欠なものである。
戦略理論は戦争、戦略が支配する複雑な領域を理解する上での
概念的基盤、また戦争や平和をめぐる事象の分析に用いるツールを
提供することができる。


・そして理論を普及・発達させることによって、
明白な考え方を提示することが可能になり、
その理論、概念、言葉の共有、関係者間の意思疎通が可能になるのだ。




※コメント
戦略に関するここ数十年の流れがよく分かる。
軍事の専門家でなくても、
かならず教養として知っておきたいことばかりだ。
濃い内容なので何度も繰り返し読みたい。


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◆コリン・グレイ『戦略の格言:戦略家のための40の議論』を読み解く




◆コリン・グレイ『戦略の格言:戦略家のための40の議論』を読み解く
(訳・奥山真司氏)



※要旨


・本書は戦略家の教育のために、
必須な知識を提供するこおとを狙って構成されている。


・本書で提示され論じられている格言の数々は、
「こうすればこうなる」ということが書かれたマニュアルのようなものではなく、
むしろ戦争や平和、そして戦略の本質というものを
理解する助けとなることを狙って説明されている。


・本書の狙いは探求作業に集中し、
戦略の本質に迫ることにある。


・「最も重要なのは戦争のコンテクストである」

戦争とは、それだけを研究すれば理解できるような
独立した流れを持つものではない。
むしろ完全に「コンテクスト」の中から生み出されたものであると言える。


・「戦争は平和につながり、平和が戦争になることもある」


・「戦争をするよりも平和を形作るほうが難しい」
戦争はその後に続く平和にために行われるために、
海外通貨の為替取引の際の難しさがすべて含まれている。


・この格言は、政治と軍事機関がさらに一層深く協力し合わなければ
ならないという非常に貴重な点に注目するよう教えている。
戦略を成功させるためには、
政治家と軍人との間で継続的な対話が行われることが不可欠なのだ。


・戦略は、政策の目標が達成可能なものかどうかによって決まる。
そしてそこで選ばれた戦略は、
戦術行動のコンテクストのもっとも重要な部分を決めるのだ。


・「もしトゥキディデス、孫子、そしてクラウゼヴィッツが語っていなければ、
それはおそらく語る価値のないものだ」


・戦略には全く新しいアイデアというものはなく、
その正確な由来が分からずそれを知ることもできないような、
古代から積み上げられたコンセプトの蓄積がある。


・トゥキディデスの『ペロポネソス戦争』、孫子の『兵法』、
そしてクラウゼヴィッツの『戦争論』は、
それぞれのスタイルには大きな違いはあるが、
それでも戦略の理解には欠かせない三部作を構成している。


・たしかにこれらの著作に十分慣れ親しんでいなければ、
我々は戦略を学んだとは言えない。
さらに言えば、これらの著作をマスターしなければ、
国家の戦略の実践者や戦略家たちに戦略的責任を負わせることはできない。


・これらの著書の価値は、極めて知性が高いことで知られたアメリカの
軍人戦略家で陸軍大将であったジョージ・マーシャルによっても証明されている。
国務長官となっていたマーシャル将軍は、
1947年にプリンストン大学の聴衆に向かって、
「ペロポネソス戦争とアテネの陥落の時代について、
真剣に考えたことがない人が、
現在の国際関係の基本的な問題について、
果たして豊かな知恵と深い確信と共に考えられるかどうか」
と疑問を呈している。


・そしてこの時代を研究するために我々に残された唯一の資料が、
トゥキディデスなのだ。
優れた戦略教育にすべて必要なのはこの三大古典である。


・今日の「流行の戦略コンセプト」は明日になると陳腐化するのだが、
それもいつかは再発見、再利用されて、
「新しい真理」として啓示される。


・すべての戦略は「地政戦略」だ。
地理は根本的な基礎である。




※コメント
戦略とは、何かをコンパクトに教えてくれる。
コンパクトだけれども奥が深い。
何回も読み返したいものだ。


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◆宮家邦彦『日本の敵:よみがえる民族主義に備えよ』を読み解く




◆宮家邦彦『日本の敵:よみがえる民族主義に備えよ』を読み解く



※要旨


・アメリカ国防総省に、ネットアセスメント室(ONA)という部局がある。
つい最近までその室長は、2015年で94歳になる、
米国随一の戦略思考家アンドリュー・マーシャルだった。
マーシャルは1973年以来足かけ43年間、
米国の脅威となり得る外国との戦略的対立・競争の長期的趨勢につき、
軍事に限らず、総合的な視点から正確な分析・評価を
歴代の国防長官に提供してきた。


・ネットアセスメント(総合戦略評価)を世に知らしめたのは、
冷戦時代のソ連の経済力に関する評価だ。
当時CIAは一貫してソ連の経済力を過大評価していた。
逆に、マーシャルは早くから統計学、経済学などを駆使して、
ソ連経済の脆弱性を主張し続けた。
彼の分析の正確さは1991年のソ連崩壊により証明された。


・冷戦終了後、マーシャルの関心は中国に移っていく。
彼は人民解放軍の軍事的評価だけでなく、
「孫子の兵法」から中国経済、
社会や人口の動向にまで調査対象を広げた。


・現代中国という巨大な政治・軍事・経済・歴史・社会的存在の
長期的趨勢の評価など軍事分析だけでは到底不十分だ。
今日の中国には歴史、地政、経済、更には人口、統計などの
専門知識を駆使しその趨勢を戦略的、総合的に評価する、
マーシャル流の総合戦略評価が不可欠だと筆者は確信している。


・本書で筆者が一貫して模索しているのは、
日本がいかにして来るべき困難な時代を生き残るのか、
ということだ。
それにはまず、己の「敵」が何であるかを知らなくてはならない。
「生き残りにおいて最も大切なのは、
常に「勝ち組に残る」「勝ち馬に乗る」ことだ。
状況判断を誤ることは、国家の「死」に直結する。
日本はサバイバルに向けた戦略を正しく組み立て、
それを実行しなければならない。


・最近の欧州・ロシア関係を示す最重要キーワードは、
ずばり「民族主義の復活」だ。


・ドイツは、大きな犠牲を払ってでも、
ユーロを守らなければならない。
その理由はユーロが本質的に政治的通貨であるからだ。
同様に、EUもその本質は経済的合理性に基づく共同体ではなく、
政治的連帯である。


・国防総省のヨーダ。
ネットアセスメント室は、日本では総合評価局などと訳されているが、
室長以下室員はせいぜい数十名だから局というほどの規模ではない。
同室の初代にして事実上の最後の室長が、アンドリュー・マーシャルだ。


・マーシャルはニクソン政権からオバマ政権まで党派を超えて、
歴代政権に仕え、一貫して敵対国との軍事的対立・競争の長期的趨勢につき、
正確な分析と評価を提供し続けてきた。
他方、彼は表舞台や手柄を嫌悪し、
めったに人前に姿を現さなかった。


・だからだろうか、日本のマスコミなどでマーシャルは、
「伝説の軍略家」「伝説の戦略家」「伝説の老軍師」
などと呼ばれている。
アメリカではSF映画『スター・ウォーズ』のヨーダになぞらえ、
「国防総省のヨーダ」と呼ぶ向きもあるそうだ。
実際、マーシャルの薫陶を受けた弟子は、
40数年間で90人ほどいるという。


・その弟子の中で、マーシャルと最も長くアジアを研究したのが、
わが友アンドリュー・クレピネビッチだ。


・ネットアセスメント(NA)とは何か。


1.マーシャルにとってNAとは、
米国とそのライバルが有する武器システム、軍隊、作戦の方針・実践、
訓練、兵站、兵器の設計・取得、資源分配、
戦略および兵力の効果の現状と将来の予測を注意深く比較することであった。


2.NAの究極の目的は、
発生する遥か前から諸問題と戦略的好機があることを指摘し、
上級指導者にそれら問題と好機を極小化・活用するための
決断を下す十分な時間を与えることだ。


3.NAの本質は早期に正しい予測をたて、
必要な準備を行う余裕を作ることだ。


4.NA式戦争とは、敵性国家に耐え難い人的・財政的コストを強いて、
最終的に勝利することだ。


5.NAには情報・軍事官僚の常識と戦いつつ、
過ちを素直に認める知的度量が必要である。


6.NAの第一歩は「正しい推論」ではなく、
その時点で得られる最高の頭脳に「正しい質問」を投げかけることだ。
枝葉末節ではなく、本質に関わる質問こそが正しい質問である。


7.NAに王道はない。
NAには最高の頭脳集団がその優れた直観を駆使して、
真実に迫るという気が遠くなるほどの知的エネルギーが必要だ。



・まず驚くことに、マーシャルがネットアセスメントと呼んだ、
分析手法は「学問」ではないらしい。
そこには標準的なモデルや数式どころか、
確立した方法論すら一切存在しない。
そもそもネットアセスメント学入門といった教科書など、
元からないらしいのだ。


・スイスの常備軍を構成する職業軍人は4,000人程度しかいない。
しかし徴兵制度により非常時に予備役を含め、
25万人の兵力が動員される。
これらの予備役兵士は、平時でも諜報活動から武器メンテナンスまで、
スイス防衛のすべての軍事活動に従事している。
このような国家に攻め入るためには相当の覚悟が必要だろう。
これこそスイスの真の国力なのだ。


・潜在的脅威国を十分抑止する軍事的「能力」がなくとも、
自国防衛の強烈な「意志」がある限り、その国は安泰である。


・中国の行動は予測不能であるとしばしば指摘される。
しかし、そもそも国家や組織とは必ずしも合理的判断を下すとは限らない、
というのが43年間、さまざまなパワーゲームを観察・分析し続けてきた、
マーシャルの結論であることを忘れてはならない。


・「戦略的曖昧さ」が合意に長寿を保証する。
外交上の了解や合意には一定の「曖昧さ」が付き物であり、
特に重要なものについては「戦略的曖昧さ」が必要となる。
こうした「戦略的曖昧さ」こそが合意や了解に生命を与え、
その長寿を保証する重要な要素だ。


・広大な領土、豊富な資源、3億を超える人口だけでは超大国は生まれない。
米国の強さの源は自由競争と恒常的な移民流入による新移民の「知的爆発」、
というのが筆者の見立てである。


・「キリスト教的理想主義」と「経済的物質主義」の対立こそ、
その後の独立戦争、南北戦争、更には公民権運動を通じて、
一貫して見られるこの国の人々の二重精神構造の本質であった。


・国家戦略を策定するには中長期的将来を見通す洞察力が必要だ。
そのような能力は一朝一夕では決して生まれない。


・対中国ネットアセスメントの目的は中国と戦うことではない。
その究極的目的は、武力ではなく知力によって、
中国側に耐え難いコストと負担を強いることにより、
中国の政策変更を導くことだ。


・中国に関する「正しい質問」とは、
1.中国政府・中国共産党の長期的目標は何か、
2.中国経済は人民解放軍の軍拡を支えることができるのか、
の2点に集約される。
いずれにせよ、
日本に残された時間は決して多くはない。


・ナポレオン軍はロシア遠征で成功すればするほど
武器、弾薬が尽き弱体化していった。
国家安全保障の基本は地政学と戦略論であり、
そうした政策立案の前提となるのが、
ネットアセスメントであることに、
クレピネビッチの本を読んでようやく気づいた。


・日本の最大の敵は自分自身。
「保守」を「進化」させれば、日本は必ず生き延びる。




※コメント
宮家さんの長年の外交経験から導き出される分析は良い。
経験と学習の融合は最強だ。
繰り返し読んで、研究したい。


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◆大前研一『クオリティ国家という戦略』を読み解く



◆大前研一『クオリティ国家という戦略』を読み解く


※要旨


・現在の日本はどういう状況になっているのか。
ひとことで言えば、「中途半端な国」になっているのである。
人材の質も中途半端で、人件費が高いのに付加価値力や特にサービス業の生産性は低い。


・一方、今世界で繁栄している国はふたつのタイプがある。
ひとつは「ボリューム国家」だ。
経済規模が巨大で、人口・労働力のボリュームと低コストの人材費を強みとして工業国家モデルで急成長している。
その代表がBRICsのブラジル、ロシア、インド、中国だ。


・もうひとつが「クオリティ国家」と呼んでいる国々である。
経済規模は小さく、人口が300万〜1000万人、一人当たりのGDPが400万円以上。
世界の繁栄を取り込むのが非常にうまいという共通点がある。
人件費は高いが、それをカバーする付加価値力と生産性の高い人材が揃っている。


・規模の拡大を目指すボリューム国家に対して質の向上を目指す国家であり、
スイス、シンガポール、フィンランド、スウェーデンが典型だ。


・クオリティ国家の大きさは、日本が道州制になった場合の道州と同じくらいだ。
ならば、日本は早急に道州制を導入し、各道州がスイスやシンガポールやフィンランドなどを参考にしながら、
思い思いの戦略を立てて自立したクオリティ国家を目指せばよい。


・クオリティ国家の特徴は、世界に出て行くだけではなく世界からヒト、モノ、カネや企業、
そして情報を呼び込むために税金体系を自由に決めている。
ほとんどの国は相続税がゼロで所得税や法人税も安いことである。
ところが日本は加工貿易立国の工業国家モデルのままだから、いまだに出て行くことばかりを考えている。


・道州が世界の中で自立していくためには、それぞれが自分なりの「クオリティ国家像」を明確に描いていなければならない。
質の高い国家、という考え方には、生活の質、社会の質、教育の質、自然や街並みの質、政治制度の質など、
あらゆる断面で世界の規範となるような質が実現されなくてはならない。


・クオリティ国家にとって、とりわけ重要なのは「ブランド戦略」である。

かつて私は、時計会社タグホイヤーのホイヤー名誉会長に、
「もし、セイコーの再生を頼まれたら、どうするか?」と質問した。

彼はこう言った。
「私を雇えばよい。
セイコーは時計を作ろうとしている。
だが、現在の時計業界は時計を作る競争ではなく、
いかにブランドを維持して高い付加価値をお客さんに認めてもらうか、
というブランド・マネージメントの競争だ」
「ブランドを維持するためには、1人のプロデューサーがいればよい。
だから、私のように高級ブランドのマーケティングを熟知しているプロを1人雇って全部任せればよい」


・複数の「ハブ拠点」で世界を呼び込むシステム構築のうまさ。
シンガポールは、国家の中にさまざまな「ハブ拠点」を作ることによって、
戦略的に世界から、ヒト、モノ、カネ、情報を吸引している。


・実はアメリカは、ひとつの国家というよりもクオリティ国家の集合体というべき存在。


・税率の低さは世界から企業と人材とカネを呼び込む。


※コメント
日本維新の会の橋下氏は、大前氏の本を熟読して、自身の政策に反映しているという。
今後どういった統治機構になるか、大前氏の理論を見ながらウォッチしていきたい。


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◆春原剛『日本版NSCとは何か』を読み解く


◆春原剛『日本版NSCとは何か』を読み解く


※要旨


・NSC(国家安全保障会議)の中核となる「四大臣会合」は原則として二週間に1回開催し、
国家にとっての基本的な安保戦略について討議し、
重要な政策認識を擦り合わせる場として位置づけられている。


・原則として、「前例踏襲主義」が幅を利かす中央官庁が、
政策決定の要所を握る日本の国家運営システムには、
「手堅い」とか「継続性がある」といった前向きの評価もある。
一方で、従来の慣習や前例、あるいは前任者のメンツなどに囚われすぎる傾向があり、
時代の変化に即した迅速な政策転換や大胆な意思決定には向かないという弱みも抱えている。


・「待ったなし」の感を強める安全保障案件が世界で山積みする中、
日本が今後も「世界の一流国」として一定の発言力を維持するためには、
国家としての明確な意思決定、戦略観と発信能力、
さらには行動力と国際社会に示していく必要がある。


・それには有能であるものの縦割り意識が強い官僚機構に加え、
「オールジャパン」の感覚で国家戦略を策定・遂行する「エリート頭脳集団=NSC」のような、
機関の創設が望ましい、というわけだ。


・逆に言えば、NSCのような横断的、かつ長期的に物事を考える組織がなければ、
日本が今後、厳しさを増す国際環境下で勝ち残ることは一層難しくなる。


・なぜ安倍首相はNSC創設にこだわったのか。
NSCを創設するということは、戦後日本がこれまで真剣に自らの問題として、
捉えてこようとしてこなかった「国家安全保障」という課題に、
真っ向から取り組むということを意味する。


・戦後、「不戦の誓い」とともに平和主義を国是の中核に据えた日本はその代償として、
安全保障や国防、インテリジェンス(諜報)といった言葉や概念から、
意図的にその身を遠ざけてきたという経緯がある。
結果、世界に冠たる経済大国となりながら、一方で国防や安全保障といった問題を、
米国との同盟関係に丸投げする格好となった。


・5年後、10年後、あるいは来年にも、
世界では思いもしなかったような事態、事件が発生するかもしれない。
そうした不測の事態に備えるためには、単に情報収集力だけでなく、
分析力、そして迅速な意思決定力を兼ね備えた組織が必要だ。


・ブッシュ&小泉政権のとき、アーミテージ、シーファー大使両氏は、
いずれ終わりを迎えるときが来るであろう「ブッシュー小泉」後を見越して次のような認識を強め、
安倍氏らに伝えた。
「誰がどこのポジションに就いても微動だにせず、
十二分に機能する同盟体制を構築するためには、日米同盟の機関化が必要だ」


・元来、島国で内向きになりがちな特性を持つ日本という国家にとって、
オール・ジャパンの視点でそれぞれの地域に詳しく、
かつ多数の知己を持つ質の高い専門家を育成することは、国家戦略上の急務である。


・米国のNSCとは、どのような組織なのか。
NSCの中心人物が「セキュリティー・アドバイザー(SA)」だ。
日本では、「国家安全保障問題担当・大統領補佐官」と訳される。


・SAには米政府内の意見を調整する能力や、
いかなる国難にも動じない胆力と豊富な経験・見識が求められる。
政治家ではなく主に外交官や米軍制服組のOB,学識経験者からSAが選ばれるのは、
こうした理由によるもの。
それにもましてSAが歴史的に「成功者」と評価されるための必要不可欠な条件は、
大統領からの絶対的な信任だ。


・SAは政権の安保・外交政策に関する戦略策定はもちろんのこと、
そのベースとなる情報収集の指示・精査、巨大な官僚機構である国防総省(ペンタゴン)、
CIA、そして国務省など異なる政府機関同士の意見・利害調整機能となる。
時には大統領の密使として、外交の裏取引に自ら出向くことすらある。


・SAには、専門家としての見識や大統領との近さだけでなく、
高いコミュニケーション能力、そして一癖もふた癖もある人材を束ねる指導力までもが求められる。


・パパ・ブッシュ政権でSAとなるブレント・スコウクロフト氏という人物がいる。
米政府関係者、OBの声を丹念に拾ってみると、
誰もが「歴代SAの中でナンバーワン」と口にするのが、このスコウクロフト氏だ。


・ある元政府高官は、次のように解説している。
「何か問題が発生したら、各省庁の専門家を集め徹底して議論し、対策をまとめ、
それを大統領に伝え周知徹底する。
それがスコウクロフトのやり方だった」


・スコウクロフト氏は稀代の戦略家であっただけでなく、
必要に応じて自分を殺すこともできる、非常に有能なマネージャーだった。
そうした一歩下がった姿勢をスコウクロフト氏が取り続けた裏には、
大統領との関係について絶対的な自信を持っていたからという事情もある。


・日々のNSCの運用についても、スコウクロフト氏は、
正副大統領や国務・国防長官らが顔を揃える正式な国家安全保障会議ではなく、
ナンバー2である副長官クラスやその下の次官クラスによる省庁横断会議を積極的に開催し、
政権としての一体感強化に努めた。


・「スコウクロフト・モデル」に基づいて、
強いNSCとそれを主導するリーダーの条件を改めて箇条書きにしてみると、
次の4点に集約できる。

1.トップ(大統領)との距離の近さ。

2.豊富な経験。

3.黒子に徹する胆力。

4.巧みな事務調整能力。


・マイケル・グリーン氏は米国版NSCの以下の3つの基本的役割を示している。

1.国家戦略を作る。

2.大統領を専門的知識によって補助し、諮問的役割を果たす。

3.扱いが難しい国防総省、CIA、国務省間の関係を調整する。


・ジェフリー・ベーダー氏の言葉を借りれば、
日本版NSCに求められる最も重要な機能とは、
「予想もしなかった出来事が発生した際の行動について、
効率的な対処法を内閣総理大臣に提供する」ということになる。


・21世紀の今日、NSCという組織に課せられている使命とは、
権力を補佐しながらその暴走を抑制しつつ、日々、起こり得る事象に現実的、
および長期的な視点を持って臨機応変に対処することにほかならない。


・スコウクロフト氏とはインタビューや、夕食会などで何度か言葉を交わしているが、
その中でももっとも衝撃的だったのは、とあるセミナーで、
「日米同盟は『自然な同盟』ではなく、『人工的な同盟』なのだ」
と断言したときだった。


・これを聞いた瞬間、一番感じたことは、
「真に追求すべきなのは米国の『国益』だけ」
という戦略家・スコウクロフトの冷徹な外交リアリズムだった。


※コメント
いままでモヤモヤしていた「国家安全保障会議」の意義を理解できた気がする。
できたばかりなので、今後もその動きには注視したい。
しかし、このNSCという機能は、民間の会社や個人の運用にも応用できると思った。


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◆野中郁次郎・編『戦略論の名著。孫子、マキアヴェリから現代まで』を読み解く



◆野中郁次郎・編『戦略論の名著。孫子、マキアヴェリから現代まで』を読み解く


※要旨


・三大古典『孫子』『君主論』『戦争論』は後に書かれる戦略論の源流に位置し、
多大な影響を与えている。
さらに戦略論にとどまらず思想、哲学、政治学の古典として時代を超えて現在も多くの読者に、
読み継がれていることも周知の事実である。


・マキアヴェリの『君主論』はその名の通り、歴史上の様々な君主および君主国を分析し、
君主とはいかにあるべきか、君主として権力を獲得し、
また保持し続けるにはどのような力量が必要なのかを説いている。


・マーレーは東南アジアで米国空軍勤務の経験をもつ歴史家であり、
戦史研究からある種の原理原則を導き出す。
彼がノックスと編集した戦史論集『軍事革命とRMAの戦略史』で貫いているのは、
「終わったばかりの戦場の実態と戦功を詳細に分析して、
組織的な行動原理を真摯に学んだ国が、必ず次の戦争に勝利している」という観点である。


・「名著」の著者すべてに共通する点は以下のようなものである。

1.戦史研究を通して現実を直視しつつ、未来を紡ごうとしている。

2.本質論=「戦争とは何か」を様々な形で問うている。

など。


・今の日本には、現実的戦略思考を身につけた人材を世に多く輩出する仕組みと、
それら人材をより組織の高みに押し上げていくフレームワークの創出が必要である。
そのためにも、多くの人々が戦争や軍事に関する様々な知識を学び、
これらに基づいた哲学的思想、国家論、人類論を含めた大観論を
「より良い未来」に向かって議論しながら実践を繰り返し、
理想主義的プラグマティズムを身につけることができる戦争文化を醸成すべきではなかろうか。


・リデルハートの「間接的アプローチ戦略」を定義してみれば、
「戦争目的を達成するうえで、敵国との直接全面衝突を避け、
敵国を間接的に無力・弱体化させて政治目的を達成し、味方の人的・物的損害を最小化する」
ということなる。


・エドワード・ルトワックは、軍事戦略と外交政策の研究者として世界的な権威であり、
現在、米国ワシントンにある戦略国際問題研究所の上級相談役を務めている。
過去の著作に『ローマ帝国の大戦略』『ソビエト連邦の大戦略』『ビザンツ帝国の大戦略』といったものがある。
彼の探究心は「大戦略」という概念に対して捧げられている。


・戦争全体や、平時における戦争のための準備は、一番高い大戦略レベルでの国家の取り組みである。
大戦略とは、戦略の軍事以外の分野と戦後の平和に注目することを喚起した、
リデルハートによって提唱された概念である。
ルトワックの戦略理論でも、情報戦、外交、経済取引といった国家間における相互作用は、
大戦略レベルに含まれる。


・「戦略」というのは時代と場所を超えて普遍的なものである。
そしてその「戦略」について考える場合に、現代でも参考になるのがクラウゼヴィッツである。
このような保守的ともいえる立場から英米の戦略論をリードしてきたのが、コリン・グレイであり、
その議論をまとめたのが『現代の戦略』である。


・ノックス&マーレーの言葉。
「軍事組織が直前の戦争を研究しすぎたために戦闘に負けた、
というのは陳腐な通説であって、実際には根拠がない。
軍事組織で、1919年から1940年の間に、成功裏にイノベーションを達成したものは、
直近の軍事的事件を注意深く、徹底的に、事実関係のままに検証していた。
過去と歴史を分析することは、イノベーションの成功の基礎である」


※コメント
日本人に足りないといわれる戦略的思考を学ぶための格好の一冊である。
それぞれの名著のエッセンスを知ることができ、長く側に置きたい本である。
これを読んでから、それぞれの名著を読むことによって、理解が深まるに違いない。
日本の指導者層、あらゆる階層のリーダーに読んでもらいたい一冊である。
この本が少しでも日本に広まれば、必ず日本は変わる。


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◆石津朋之『大戦略の哲人たち』を読み解く



◆石津朋之『大戦略の哲人たち』を読み解く


※要旨


・本書は20世紀の大戦略(グランド・ストラテジー)の思索家、とりわけ20世紀後半うまれの読者に、
馴染みの深い人物に焦点を絞り、理論と実践の立場から大戦略について考えようとする試みである。


・地政学の父として知られる英国のハルフォード・マッキンダーについて論述する。
そこでは、マッキンダーの功績が高く評価される必要があること、
さらに「ハートランド」に代表される彼が用いた発想や概念が今日に至るまで、
地理的環境と国際関係の問題を考えるうえで有用であることが論じられる。


・だが同時に、マッキンダーは必ずしもハートランド理論や地政学といった
体系的な学問領域の構築を目指していたわけではなく、同時代のイギリスが採るべき大戦略をめぐって、
政策提言を行なっていたにすぎないことも事実である。


・英国の歴史家マイケル・エリオット・ハワードを取り上げ、
戦争と社会の関係性、戦争と政治の関係性、そして学問としての戦争学という側面から
大戦略について考察する。


・アメリカの国際政治学者バーナード・ブロディを取り上げ、
なぜ彼が「戦略家のための戦略家」、あるいは「核時代のクラウゼヴィッツ」と
高く評価されているのかについて考える。


・アメリカの歴史家ヘンリー・キッシンジャーも紹介する。
キッシンジャーと聞くと読者は通常、実務者としてのイメージを抱くかもしれない。
確かに、1970年代の米中和解や米ソのデタントに代表されるように、
アメリカの大戦略あるいは国家安全保障政策における彼の活躍には目覚しいものがあった。
だが同時に、彼は優れた歴史家であり、またアメリカを代表する戦略家でもある。


・大戦略の哲人としての評価を得る一つの条件として、同時代の固定観念を疑い、
挑発的ではあるが説得力に富む議論を展開できる能力が挙げられる。
この点について、アメリカの国際政治学者エドワード・ルトワックほど、
今日、戦争や大戦略をめぐる問題で大きな論争を巻き起こし、
人々の固定観念に挑戦し、また現実の政策立案や研究への示唆を与え得た人物はいないであろう。


・ルトワックが繰り返し指摘する戦争や戦略の領域を支配するパラドックスの概念を手掛かりに、
ヴィジョナリーとしての彼の戦争観、平和観、そして戦略観について検討する。


・本書で大戦略とは政治における高次の概念であり、軍事や外交はもとより、財政や経済、
さらには文化といった領域をも含む場を意味する。
国家戦略とほぼ同義と考えてもらいたい。


・大戦略という概念を一般に定着させた英国の戦略思想家バジル・リデルハートの存在は忘れてはならない。


・第一次世界大戦前後のフランス宰相クレマンソーの
「戦争は将軍だけに任せておくにはあまりに重大な事業である」との認識の下、
大戦略の策定および戦争全般の指導は、国家政策の頂点に立つ文民政治家が、
自ら行なわなければならないと考えたことが、大戦略が世界で注目を集めた大きな契機となった。


・総力戦の時代だからこそ文民政治家が大戦略を考え、戦争を指導すべきとの認識であり、
これはルーデンドルフの「総力戦理論」に代表されるドイツの戦争観とは対照的である。


※コメント
戦略の歴史を学ぶには最適の一冊である。
かれらの思想は、現代の戦略にも脈々と受け継がれている。
今後も、戦略関係については調査を続けたい。


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