◆エリノア・スローン『現代の軍事戦略入門:陸海空からサイバー、核、宇宙』を読み解く
(翻訳:奥山真司・関根大助)
※要旨
・冷戦後の時代では、何かしらの紛争、もしくは戦争が、
国際システムのレベルでほぼ途切れることなく続いていた。
国家にとって戦争の遂行があいかわらず最も重要な行為の一つで
あることを意味している。
・戦争の遂行に関する戦略思想は、
現代の国家安全保障政策における軍事力の役割や、
それが果たす貢献の部分に光を当てることによって、
我々が危機に直面したり、それを管理しようとする際の助けとなる。
・現代のシーパワーの理論によれば、
シーパワーが戦略的な効果を達成するためには、
地上部隊と協力すべきであるという。
・シーパワーは、沿岸域での国家間紛争の流れに影響を与えるため、
そして外洋では海上交通線が自由に開かれた状態を維持するための、
シーコントロールの度合いを高める目的で使用されるべきである。
・本書の内容を簡潔に言えば、
「冷戦後の軍事戦略理論の変遷の概略説明」である。
本書はそのような理論についての議論の流れを、
ここ20年ほどの経緯とともに丹念に追ってまとめたものだ。
・本書の第一の特徴は、各分野の軍事戦略の歴史や近況、
そしてその代表的な理論家や理論そのものの背景を、
極めてコンパクトな形にまとめて分析している点にある。
・とりわけ古代から理論が存在するランドパワーは、
孫子からクラウゼヴィッツ、そして冷戦後の現代に至るまで、
扱っている範囲は極めて広い。
しかし、そのエッセンスを30ページほどの分量にまとめている。
・第二の特徴は、冷戦後の20年間の戦略思想に与えた、
アメリカを中心としたテクノロジーの発展のインパクトの
大きさが理解できるという点だ。
・戦略理論やそれに関する議論の多くは、
古典が基盤となっている。
「万物は流転する」と言うが、
同時にどんな長大な時間を経ても変化しない物事の
本質というものが存在し、
戦略の分野でそれを理解するには、
歴史や古典から多くを学ばなければならない。
・そういった歴史や古典と、現代における複雑な事象を関連付け、
「温故知新」の精神に則った不変の英知を証明するためには、
広い知識と労力が必要である。
・ところが現代の多くの人間、特に実務家たちは、
当然のことながら現在進行形の具体的な事象や近い将来の問題に目を向け、
抽象的な理論や歴史的な広い視野による研究を注視しない傾向にある。
・戦略理論の研究は不可欠なものである。
戦略理論は戦争、戦略が支配する複雑な領域を理解する上での
概念的基盤、また戦争や平和をめぐる事象の分析に用いるツールを
提供することができる。
・そして理論を普及・発達させることによって、
明白な考え方を提示することが可能になり、
その理論、概念、言葉の共有、関係者間の意思疎通が可能になるのだ。
※コメント
戦略に関するここ数十年の流れがよく分かる。
軍事の専門家でなくても、
かならず教養として知っておきたいことばかりだ。
濃い内容なので何度も繰り返し読みたい。
★エリノア・スローン『現代の軍事戦略入門:陸海空からサイバー、核、宇宙』
(翻訳:奥山真司・関根大助)
の詳細,amazon購入はこちら↓
http://amzn.to/1BZIInt
★コリン・グレイ『現代の戦略』新刊本。
(翻訳:奥山真司)
の詳細,amazon購入はこちら↓
http://amzn.to/1Y5WFwy
古今東西の戦争と戦略論を分析、
陸海空,宇宙,サイバー空間を俯瞰し戦争の文法と
本質について論じる泰斗による主著。
◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご紹介。
ご登録はこちらです↓
http://www.mag2.com/m/0000258752.html
世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。これを読めば貴方も一流のスパイになれるかもしれません。