外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏の新刊文庫である『インテリジェンスの賢者た
ち』が面白い。
世界各地には、我々の知らないところで、確実に情報マンたちが動いている。
そんな非日常を垣間見ることは、好奇心をそそる。


■手嶋龍一『インテリジェンスの賢者たち』要旨


・「男たちは、妻を選ぶときより、仕立て屋を選ぶときのほうが慎重になる」
英国に伝わるこの箴言は、男たちよ、決して衝動で妻を選んではならない、と諭
している。

・「国際政治の研究者とは、熾烈な競争を生き抜かなければならない銀幕のスタ
ーのようなものだ」
(ブライアン・ヘア教授)


・貴重なインテリジェンスには、それなりの敬意を払っておかなければ、礼を失
してしまう。

・背広の内側にネームやテーラーの縫込みが見つかれば、その男は英国秘密情報
部員ではない。

・インテリジェンスの世界にあっては、流した汗の量や費やした時間が正しい結
論を導き出すとは限らない。

・同盟国といえども、決して安易に機密情報を投げ与えてはならない。
コストをかけずに受け取った情報など、真のインテリジェンスとは受け取らない
からだ。
情報市場では等価交換が原則だ。


・国家の指導者が欲する情報に安易に迎合しないインテリジェンスには、独自の
生命力が宿っている。

・インテリジェンスとは、単なる諜報ではなく、極秘の情報でもない。
雑多なインフォメーションの海から選り抜かれ、分析を重ねたインテリジェンス
は、国家の命運を委ねられた者が未知の航海に出

て行く指針となる。


・枢要な公職にある凡庸な人物、これほど厄介なものはない。
彼らが聞きに臨んでくだす無作為という名の決断は、一世紀にわたって国家に災
厄を及ぼす。




※分析メモ
先日、楽天名誉監督の野村克也氏の話を聞いた。
彼こそ、野球界に情報分析というものを本格的に導入した人物だ。
それは誰から教えられたものでもなく、打率を上げるために彼が苦心して編み出
したものだった。
情報というのは、学び、実践することが、シンプルだが重要なのだと実感した。