◆手嶋龍一・佐藤優『知の武装・救国のインテリジェンス』を読み解く


※要旨


・優れたインテリジェンス・オフィサーは、
官僚機構が占有している極秘情報なるものを必ずしも必要としない。
自分なりのビックデータを日々耕し、インテリジェンス感覚を研ぎ澄ましておけば、
新聞のちょっとしたベタ記事から近未来に生起する変事を察知できる。


・そもそも安全保障分野の「抑止力」とは、
その奥底に「力の行使」の覚悟を秘めていなければ効き目はない。


・「元インテリジェンス・オフィサーなど存在しない」
というのが、プーチン露大統領の口癖。
ひとたびインテリジェンス機関に奉職した者は、
生涯を通じて諜報の世界の掟に従い、祖国に身を捧げるべきとのこと。


・「情報に同盟なし」という格言がある。
どんなに緊密な同盟国であっても、苛烈な国際交渉では、国益をかけて渡りあう。


・イギリスという国が、なぜインテリジェンス文化の発祥の地になり、
ソ連にまで影響を及ぼすようになったのか。
それは王位継承をめぐる暗闘の産物である。
そもそもイギリス国教会が生まれたのは、16世紀にヘンリー8世が妃となんとか離婚したいと考え、
それを認めないカトリック教会と袂をわかったのがきっかけ。


・シェイクスピア作品にも描かれたヘンリー8世は、秘術の限りを尽くしてバチカンの呪縛を逃れたが、
教義的には相当程度カトリックに近いわけです。


・イギリス国教会にも、実はふたつの系譜がある。
カトリックに近いのがハイチャーチ。
これに対して、ローチャーチというのがあって、こちらはプロテスタンティズムに近い。


・言うなればイギリス国教会の中には、カトリック派とプロテスタント派があるわけです。
しかも、それらをちゃんと統括できちゃっている。
それを可能にする唯一の結節点は、言うまでもなく女王陛下の存在。
イギリスのインテリジェンス機関は女王に忠誠を誓うメカニズムなので、
女王のもとにインテリジェンスも統括されている。
そして、このハイチャーチにつながる系譜こそ、
幾多のインテリジェンス・オフィサーを生み出し、SIS(MI6)の主な人材供給源となっている。



・ヒラリー・マンテルが書いた歴史小説の傑作である『ウルフ・ホール』は、
ヘンリー8世の側近としてスゴ腕を振るったトマス・クロムウェルの視点から、
宮廷内の暗闘を描いており、これ以上のインテリジェンスの教材はない。


・ひとつの民族を統治するより、様々な民族の集合体である「帝国」を維持するほうがよほど難しい。
そのためには、インテリジェンス機能を極めていくことが重要になってくる。


・「帝国」というのは必然的に多元的なので、インテリジェンス機能が高くなければ治められない。
精強な「帝国」になるには、優れたインテリジェンス機関をもつことが不可欠。


・危機に際して、国家がインテリジェンスの感覚を天性備えた指導者を擁しているかどうかが問題になる。
誰しもすぐに思い浮かべるのは、かのウィンストン・チャーチル卿。
この人は第二次世界大戦の指導を委ねられるために、それまでのすべての人生があったと自ら語っている。


・未曾有の危機に直面して、求められるのは知識などではない。
専門家の言うことをよく聞いて、余計な喧嘩はしない。
これはという人に思い切って任せる。
物事の判断が的確で、有能な人を嫉妬したりしない指導者が必要。


・英国のインテリジェンスの特徴は死生観にあると思う。


・リーダーたるもの、精緻なインテリジェンスが欲しければ、胸の内を部下に悟られてはならない。


※コメント
インテリジェンスの初歩の心得を教えてくれる貴重な一冊だ。
その本質は何か。
各国の情報センスの比較などを踏まえながら、わかりやすく教えてくれる。


★手嶋龍一・佐藤優『知の武装・救国のインテリジェンス』の詳細、amazon購入はこちら↓

http://amzn.to/1cQdlle



◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご紹介。
ご登録はこちらです↓

http://www.mag2.com/m/0000258752.html

世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。これを読めば貴方も一流のスパイになれるかもしれません。