◆野中郁次郎・編『戦略論の名著。孫子、マキアヴェリから現代まで』を読み解く


※要旨


・三大古典『孫子』『君主論』『戦争論』は後に書かれる戦略論の源流に位置し、
多大な影響を与えている。
さらに戦略論にとどまらず思想、哲学、政治学の古典として時代を超えて現在も多くの読者に、
読み継がれていることも周知の事実である。


・マキアヴェリの『君主論』はその名の通り、歴史上の様々な君主および君主国を分析し、
君主とはいかにあるべきか、君主として権力を獲得し、
また保持し続けるにはどのような力量が必要なのかを説いている。


・マーレーは東南アジアで米国空軍勤務の経験をもつ歴史家であり、
戦史研究からある種の原理原則を導き出す。
彼がノックスと編集した戦史論集『軍事革命とRMAの戦略史』で貫いているのは、
「終わったばかりの戦場の実態と戦功を詳細に分析して、
組織的な行動原理を真摯に学んだ国が、必ず次の戦争に勝利している」という観点である。


・「名著」の著者すべてに共通する点は以下のようなものである。

1.戦史研究を通して現実を直視しつつ、未来を紡ごうとしている。

2.本質論=「戦争とは何か」を様々な形で問うている。

など。


・今の日本には、現実的戦略思考を身につけた人材を世に多く輩出する仕組みと、
それら人材をより組織の高みに押し上げていくフレームワークの創出が必要である。
そのためにも、多くの人々が戦争や軍事に関する様々な知識を学び、
これらに基づいた哲学的思想、国家論、人類論を含めた大観論を
「より良い未来」に向かって議論しながら実践を繰り返し、
理想主義的プラグマティズムを身につけることができる戦争文化を醸成すべきではなかろうか。


・リデルハートの「間接的アプローチ戦略」を定義してみれば、
「戦争目的を達成するうえで、敵国との直接全面衝突を避け、
敵国を間接的に無力・弱体化させて政治目的を達成し、味方の人的・物的損害を最小化する」
ということなる。


・エドワード・ルトワックは、軍事戦略と外交政策の研究者として世界的な権威であり、
現在、米国ワシントンにある戦略国際問題研究所の上級相談役を務めている。
過去の著作に『ローマ帝国の大戦略』『ソビエト連邦の大戦略』『ビザンツ帝国の大戦略』といったものがある。
彼の探究心は「大戦略」という概念に対して捧げられている。


・戦争全体や、平時における戦争のための準備は、一番高い大戦略レベルでの国家の取り組みである。
大戦略とは、戦略の軍事以外の分野と戦後の平和に注目することを喚起した、
リデルハートによって提唱された概念である。
ルトワックの戦略理論でも、情報戦、外交、経済取引といった国家間における相互作用は、
大戦略レベルに含まれる。


・「戦略」というのは時代と場所を超えて普遍的なものである。
そしてその「戦略」について考える場合に、現代でも参考になるのがクラウゼヴィッツである。
このような保守的ともいえる立場から英米の戦略論をリードしてきたのが、コリン・グレイであり、
その議論をまとめたのが『現代の戦略』である。


・ノックス&マーレーの言葉。
「軍事組織が直前の戦争を研究しすぎたために戦闘に負けた、
というのは陳腐な通説であって、実際には根拠がない。
軍事組織で、1919年から1940年の間に、成功裏にイノベーションを達成したものは、
直近の軍事的事件を注意深く、徹底的に、事実関係のままに検証していた。
過去と歴史を分析することは、イノベーションの成功の基礎である」


※コメント
日本人に足りないといわれる戦略的思考を学ぶための格好の一冊である。
それぞれの名著のエッセンスを知ることができ、長く側に置きたい本である。
これを読んでから、それぞれの名著を読むことによって、理解が深まるに違いない。
日本の指導者層、あらゆる階層のリーダーに読んでもらいたい一冊である。
この本が少しでも日本に広まれば、必ず日本は変わる。


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