◆百田尚樹・渡部昇一『ゼロ戦と日本刀』を読み解く
百田氏は、最近映画化された「永遠のゼロ」の作者。
※要旨
・かつての戦闘機「ゼロ戦」は、あらゆる意味で日本と日本人を象徴していると思う。
資源の乏しい国がこしらえたゆえに、美しさと表裏一体のもろさをもっている。
たとえるとその切れ味は、日本刀に似ている。
美しく強靭でありながら、同時に折れやすい。
・われわれは義務教育であらゆる科目を習うが、欠けているのが近代史の知識。
とくに大東亜戦争については、まったく教えられない。
あの戦争は、明治維新よりもはるかに重大な意味を持つ「歴史的事件」。
わずか4年の戦争で日本は、民間人を含めて300万人もの人命を失ったのだから。
・アメリカの空襲で東京、大阪、名古屋、北九州などの国土が一面の焼け野原と化し、
半世紀以上かかって築き上げた海外のインフラ、工場や店舗、投下した資本などが全部没収された。
まさにあの戦争は、国が滅ぶかどうかの大事件だったのだ。
われわれ日本人が率先して学ばないでどうするのか。
・昭和16年、私は当時のことをよく覚えている。
あのころの軍国少年は、いまの子どもたちがサッカーに
関心があるというレベルの10倍くらい国際動向に関心があった。
だから対米交渉の行方や石油が禁輸になるかもというニュースは当然耳にしていた。
石油の全面禁輸という新聞記事を小学5年生の夏に読み、目の前が真っ暗になった気がした。
・翌年の冬、2月か3月には石油が底をつき、息の根を止められる。
死にたくなければ、日本は何が何でも石油を確保しなければいけない。
つまり、大東亜戦争は、国家の命運をかけた石油を確保するための戦争だった。
これが大東亜戦争の本質。
・戦国武将は第一に兵站を重視した。
兵站が勝負の分かれ目だからこそ、甲斐の武田信玄は京都に上らなかったわけだ。
豊臣秀吉は兵站の天才だったから天下統一を成し遂げることができた。
・私は60余年、日本の敗因を考えつづけてきたが、
最近になって「戦争の勝ち負けはわずかなことで決まることが多い」と思うようになった。
・アメリカは失敗した指揮官に必ず責任を取らせた。
真珠湾攻撃をされたアメリカ太平洋艦隊司令長官キンメルは、
1941年12月17日付の大統領命令で司令長官を解任されたうえ、大将から少将に降格させられた。
・しかもキンメルの後任にニミッツを抜擢することで、
実力主義を示して組織の活性化を図った。
ニミッツという人は、海軍士官学校の成績が卒業席次で114人中7番。
優秀であったとはいえ、当時はまだ序列28番目の少将だった。
それでも実戦での戦績がずば抜けていて、大統領の信頼が厚かった。
・石油会社の出光興産とその創業者・出光佐三をモデルにした『海賊とよばれた男』を
執筆するにあたって、石油の歴史をもう一度、一から勉強しなおした。
・巨大タンカー時代になると、戦艦大和建造時に培われた技術が佐世保、呉の造船所で蘇った。
世界のどの国も造ることができなかった巨大タンカーを、
日本が建造することができたのは、世界最高レベルの造船技術をもっていたから。
・手前味噌で恐縮だが、出光佐三と社員たちという素晴らしい男たちについて書き始めたのが、
2011年10月の終わりだった。
それから翌年の5月までの7ヶ月間書き続けた。
普段は1日30〜40分しかもちません。
ところが、この7ヶ月は起きている時間はすべてワープロに向かうか、資料を読むかしていた。
そうせずにはいられなかった。
サボれなかった。
物語のなかで、彼らは死に物狂いで戦っていたからです。
・出光佐三は敗戦で、会社資産のほとんどを失った。
このとき60歳で、人生の晩年に差しかかていた。
にもかかわらず、終戦から2日後の8月17日に生き残った社員を招集し、
こういって激を飛ばした。
ちなみに彼はメモ魔で、すべての言葉を記録して残している。
「愚痴は泣き言である。亡国の声である」
「日本には三千年の歴史がある。
戦争に負けたからといって、大国民の誇りを失ってはならない。
すべてを失おうとも、日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上げる日が来る」
「ただちに建設にかかれ」
「世界は再び驚倒するであろう」
その後の日本は見事に立ち直り、世界を驚かせた。
※コメント
映画「永遠のゼロ」を見た。
たいへん面白く、また考えさせられる映画であった。
多くの日本人に見てもらいたいというのが率直の感想だ。
★百田尚樹・渡部昇一『ゼロ戦と日本刀』の詳細、amazon購入はこちら↓
http://amzn.to/1jOSZON
◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご紹介。
ご登録はこちらです↓
http://www.mag2.com/m/0000258752.html
世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。これを読めば貴方も一流のスパイになれるかもしれません。