◆今井宏『概説イギリス史。伝統的理解をこえて』を読み解く


※要旨


・まず、イギリスは何であったかをふりかえる。
開国・維新以来の日本人にとって、イギリスは何よりも世界最大の海軍力を擁し、
欧米列強の先頭に進出してきた強大な軍事勢力であった。
そして地球の陸地の約4分の1を植民地とする最強最大の大英帝国であった。


・また資本主義の最先進国として「世界の工場」と呼ばれる大工業国家であった。
それを基礎としていち早く高度な物質文明とハイカラな生活様式とを実現した存在であった。


・あるいは自由主義、民主主義の政治原理をもっとも早く達成して、
模範的な議会運営に基づく立憲君主制を実現した国であった。
さらに、地に足のついた経験論に裏打ちされた思考を生活に具現化した「紳士の国」であった。


・明治以来、わが国の政府・体制側にとり、英国の経済力・軍事力は最大の目標であった。
同時に、知識人、反体制側の多くの人々も、
英国の成就した近代化、政治形態、自由主義は憧れの的であった。


・要するに、立場の如何を問わず、日本人にとってのイギリスは到達すべき目標にほかならず、
あらゆる先進的、近代的なものの代名詞であった。


・アングロ・サクソンがブリタニアに移住する以前、
この島にはローマ化したケルト系ブリトン人が居住していた。


・次いで9〜11世紀には、北欧からバイキングがイングランドのおよそ2分の1の地を占拠、
長期にわたって言語、制度、慣習など独自性を維持した。


・さらに11世紀から13世紀にはノルマン人、フランス人出身の貴族階級が、
王家のみならず全支配階級を形成して、大陸のラテン的言語・風習・制度をもちこんだ。


・これら諸民族は漸次アングロ・サクソンと融合するにいたるが、
これらのことから少なくともイングランド中世史は、その当初より、
さまざまな民族の織り成す複合民族の歴史であったといわなければならない。


・イギリスという国は古くてしかも新しい国である、とよくいわれる。
その歴史を彩るさまざまな変革をみても、
古い伝統的な制度や考え方をできるだけ温存させながら、
時勢に応じてそこに巧みに新しい精神や機能を付け加えてきた。


※コメント
世界史を一国の観点からみると面白い。
教科書で世界史を学ぶと、いろいろな国にとんで混乱する場合がある。
各国史を今一度、読み直したい。



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