◆武雄市長・樋渡啓祐『「力強い」地方づくりのための、あえて「力弱い」戦略論』を読み解く


※要旨


・トップは火の中、水の中、突き進むこと。
しかし、楽しむこと、休むことは忘れてはいけない。
最低限、心に余裕、遊びがなければいけない。


・まちづくりには、大人の僕たちが忘れていた友情、笑い、知的興奮、
世代間交流、いろいろ詰まっている。


・つくづく情報は鮮度。
早く取ったもの勝ちということが身にしみる。


・市長の仕事は99%不可能なことをやること。


・相談しないこと。
するとぶれる。


・僕は学生のときからポスターを作りたくて仕方がなかった。
ポスター1つで、人の気持ちも変わるし、世の中も変わる。
たかがポスターなのに。


・営業部。
平成19年、全国の市役所ではじめて営業部を誕生させた。
営業部の目的は、武雄を全国に売ってくることや、情報を持ってくること。


・僕の本当の狙いは、「名は体を表す」だ。
営業部戦略課の職員がいつも、
「わたしは武雄市営業部戦略課です」
とはなしていけば、そのうち営業部マインド、戦略課モチベーションになる。


・仕事でいろいろ行き詰る。
これは誰も一緒。
反省モードの入りかけで、『ローマ人の物語』を読み返すとすっきりする。
カエサルもハンニバルも、スキピオも愛すべき失敗の繰り返しだ。


・僕は困ったとき、読書でも都合のいい部分しか読まない。


・職場の士気を上げること。
即効薬がある。
それは、子どもたちに職場を見てもらうこと。
しかもできれば自分の子どもたちや同じ地域の子どもだ。


・ドラマ「佐賀のがばいばあちゃん」を誘致して、撮影にきた女優さんたちに聞いた。
「なんでそんなに美しいんですか」と。
答えは1つ。
それはいろんな方々に見られるからだと。
市役所も職員も見られることによって、美しくなるし、やる気も出てくる。


・レモングラスというハーブをご存知だろうか。
どうやったら、レモングラスを広めることができるか。
副市長に相談したら、議会で答弁すればいいというアドバイスをもらった。


・トップは大風呂敷を広げてどんどん夢を語れ。


・忘れもしない平成18年12月、議会にレモングラスの葉っぱとタイの加工製品を持ち込んで、
「これを作る、ぜひ協力を」
と平身低頭してお願いした。
議員30人、答弁席の僕からよく見えるのだが、
みんなポカンとしていた。


・まだ武雄にレモングラスが出来ていないときから、
僕が大風呂敷を広げ、レモングラスの特産地になると公の場で宣言して、
こういう食料品や製品を作りたいとどんどん夢を語る。
それにつられて、地元の農業をやっているおっちゃん、おばちゃんが面白そうだと、
夢がありそうだと乗ってくる。


・平成18年、2人の副市長を任命した。
極めてうまくいっていると自負している。
その秘密はなんと、市長室に2人の副市長を入れて、3人部屋にしたこと。
こうやって情報共有することができ、3人であーでもない、こーでもないと話している。
それによって、意思決定が早くなった。


・情報は発信するところにしか、なぜか集まらない。


・思いつきで言う、思いつきで変える。


・どこにアタックするか見極める。
トップセールスでうまくいったものを拾ってみると、意外なことに気づいた。
関西大学の高槻市への誘致、ドラマロケの武雄への誘致、
日田天領水との連携がいい例になるが、3つの要素がある。
このうち1つでもできれば何とかなる。


・まず1つは、向こうのトップと人間関係を築くこと。
僕なんか何も用事がないのにへらへらとトップや、
会えなくても秘書さんのところに行って世間話をする。
3回に2回はアポなしだ。


・2つ目は、だいたい優れたトップには懐刀がいる。
その懐刀を大事にする。
これも運に近いものがある。


・3つ目は、現場だ。
現場の人に可愛がってもらうこと。
ドラマ誘致のときはADさん、関西大学誘致のときは若手職員。
これは前の2つと比べると簡単だ。


・昔、総務省にいたときに感心したことがある。
それは、ふつう、知事は言うに及ばず、市長とか村長は最低でも課長のところに行きたがる。
僕らヒラには、大臣や局長のアポを取ってくれと頼んできたり、
脅したりした市長さんたちもいた。


・しかし当時の沖縄の座間味村長さんは、そういう偉い人たちのところには目もくれず、
僕ら下っ端(霞ヶ関用語で、シタッパーズ、ボトムズなどという)にばかり来て、
無駄話をしたり、いろんあお土産を置いて帰るのだ。


・そうなると、こっちもこの村長さんのために何とかしなきゃと思う。
この村長さんは人がいいばかりではない。
霞ヶ関の権力構造をよく知っていたのだ。
というのも、大きな予算は係長でつける。
僕も係長のときは1000億円規模で予算をつけていた。
そうなのだ。
日本はある意味、管理職よりも現場が力を持つ。


・総合計画をイラスト・カレンダーに。
逃げ隠れできない絵で勝負。


・市長になってまず考えたのが、計画をなくすこと。
会議で、
「総合計画やめよう。誰も見ないし」
といったら、職員は絶句していた。笑。


・「え!そんなことはできません、市長のほうでももう少し考えてください」
と職員から言われた。
そんなとき、小学生の訪問があり、30年後の武雄という題で、絵を描いていた。
破天荒な絵であり、最初は鼻で笑っていたが、そのときピンときた。
衝撃が走った。
これだ、これ。
すぐ担当の人に電話した。
イラストでいこうよ、イラストで。


・10年後の武雄をイラストにしようと。
武雄の景観、商店街、農業、まちづくり、観光、全部絵にすればいい。
文章は大雑把なことを書いて逃げ隠れできるが、絵は逃げ隠れできない。


・イラストレーターを公募して、
10年後の武雄の福祉やユニバーサルデザイン、
景観などのテーマごとにイラストを描いてもらった。


・48枚の絵を描いて、カレンダーにした。
カレンダーと総合計画を結びつける。
これこそ、組み合わせ論だ。


・みんなアナログな賑わいを求めている。


・大体、式典は面白くない。
役所が主催してやるのは本当に面白くない。
そこで平成18年の市町村合併の記念式典は、高校生の実行委員会にやってもらうことにした。

主催者の僕の挨拶は、たった30秒。
あとは高校生の演劇、武雄中のソーランありの盛り上がったイベントになった。


・20年前に僕が旅したイタリアの地方はそんな感じだった。
大きなイベントは子どもたちに任せる。
そして、大人たちが後ろで笑いながら支える。


・何でもかんでも発信し続けることが大事。
発信力だったら無料。
情報は発信し続けよう。
そうしたら、その10倍の情報がかえってくる。


※コメント
やあ、いろいろなアイデアがでてきて面白いです。
民間でも応用できます。
彼の発想力をおおいに参考にしたいと思います。


★武雄市長・樋渡啓祐『「力強い」地方づくりのための、あえて「力弱い」戦略論』
の詳細,amazon購入はこちら↓

http://amzn.to/1p9KLi8



★樋渡啓祐『反省しない。すぐやる、攻める、そして組む』の詳細,amazon購入はこちら↓

http://amzn.to/1u0e3Xl


◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご紹介。
ご登録はこちらです↓

http://www.mag2.com/m/0000258752.html

世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。これを読めば貴方も一流のスパイになれるかもしれません。